LS

ジガルタンダ・ダブルXのLSのレビュー・感想・評価

ジガルタンダ・ダブルX(2023年製作の映画)
4.3
「あなたは、神。」

いやいや、
監督にこそ、その言葉を言いたい。

1970年代、南インドが舞台。

ちょっと人が死にすぎとかもあるが、
そんなのどうでもいいくらい
とにかく熱く、二転三転するプロットに脱帽で、
3時間の映画があっという間。

なんだこれ。
何を見たんだ。
と、呆然、、、。

もちろんインド映画の踊りや
喜怒哀楽全部入っているし
マカロニウェスタンも入ってるし
映画「アクトオブキリング」も入ってるし
てんこ盛り。

インターバル(日本の映画館にはなかったけど)の
前後があまりにも違うテイストに。

インターバル前は、

極悪非道のヤクザのボスがいて、
そのボスはクリント・イーストウッドの西部劇映画が大好き、
映画館も持っているシネマフリーク。
人を殺す時も、映画館で、
早撃ちの決闘で殺すというクレイジーさ。

そのボスが
自分を主人公にした映画を制作しようということになり、
ディレクションして撮ってくれる映画監督を募集し
大々的にオーディションを開催する。

元警察官でちょっと気弱な主人公が
映画監督のフリをして、
オーディションを受け、合格!
バービーにもあった
「男はみんなゴットファーザーか好き理論」で、
なんとかボスのハートを射止めたのだが、
隙を見て撮影中にボスを殺さないといけないハメに。

シーザーを殺害しろ!と
主人公のことを脅している、
これまた極悪非道な怖い警官もいるからだ。

主人公はやったことのない映画監督だが、
口から出まかせばかり言って
どんどん撮影しつつ決行の日を伸ばしに伸ばす。

一方、
撮影を依頼したヤクザのボス「シーザー」は、
鼻輪をつけ、
パパイヤ鈴木のようなでっぷりとしたおじさん体型笑
なのに、マシンガンを撃ってくる敵たちを、
素手で倒す無敵のなかの無敵キャラ。笑

象牙を売りさばき
人をバンバン殺すし、
ナルシストだが、

踊る時は豪快に、
仲間には熱く、
妻にちょっと弱く、
主人公もボスを殺さないといけないのに、
だんだんと漢惚れしていく。

ボスの大好きなクリントイーストウッド主演で出世作の「荒野の決闘」、その「荒野の決闘」のベースとなった黒澤明作品「用心棒」は、どちらも悪い2組あって、主人公が悪い奴ら同士をけしかけてお互い喧嘩させて成敗しようとするストーリーなので、今作の前半も、それにそったプロット。

と、前半は、登場人物紹介だったり
基本かるーいコメディミュージカルなタッチ。

なのに
インターバル後は、急にギアが急上昇!

映画監督のフリをして撮影し続けたら、
どんどん映画撮影の虜になる主人公。

ボスの人間力が足りない、共感が足りない、ギャップが足りない、つまり感動が足りない!と提案し、街から生まれた村に帰って、ヤクザなのに困った村人を助けてヒーローになるストーリーはどうだろうか、と提案。

村へと帰るボスについていき、どんどん撮り続けるのだが、、、

インド特有の政治問題あり、
SDGSあり、
貧富の差あり、
いじめられている少数民族あり、
ハードなシーンあり、
アクションやバトルシーンあり、
共感あり、
ファイトザパワーあり、
泣きシーンあり、
恋愛あり、
動物あり、
ミュージカルも相変わらずあり、
二転三転するストーリーあり、
伏線回収あり、の超てんこ盛り!

これでもかと、全インド映画のいいところを全部載せ!

めちゃくちゃだけど、
えー!が多すぎて、
脳が追いつかない笑

インドだから通るプロット、
いや、インドしか通らないプロット笑

でも、ちゃんと映画映画していることが信じられない笑

「プロットなんて撮影し続けると自然と生まれてくる物だ!」というような今作の映画のセリフで出てきますが、まさにそれを体現するような映画です!

まさに、
「お前がシネマを選ぶのではない。
シネマがお前を選ぶのだ、マイボーイ」。
わたしも、
「うおー!そういうことかあ!マイボーイ!」
と打たれて、痺れましたー!

最初はシーザーが人を殺したり、踊ったりする「映像」だけだったのが、
後半は人間力、共感、感動と足していって、
だんだん「映像」が「映画」になっていくのも、
メタ的にグッときたポイントです。

ちゃんと映画作りの大変さや感動、映画の意義を問うている映画で、
最後は映画の力でみんなが動いていく大感動に。

そして、エンディングでも、、、😳!
LS

LS