このレビューはネタバレを含みます
イスラーム映画祭9(アルジェリア )
<公式より>
1995年、アルジェ。ハマムで働くファーティマは、出勤途中に爆弾テロを 目撃する。彼女がハマムの準備をしていると、妊娠した16歳のマリアムが避難を求めて現れ、ファーティマは他の女性客にバレないようマリアムを匿う・・。
大好きな映画祭。主催者の熱量がすごい。
そして前説が大変ありがたい。どの時代を描いていて、どんな背景があるかを知るだけで、映画の入ってきかたが違うから。小難しいってわけではなくて、日本では触れる機会が少ないエリアなので。
と、前置きが長くなってしまったが、今年の1本目にして、深く残る作品だった。
全編がほぼハマム(撮影はオスマン帝国時代に作られたギリシャのベイ・ハマムとのこと)での会話劇だが、赤裸々な話から内戦下の状況、政治まで、井戸端会議というにはあまりにも濃い話の連打。こんな状況下でもクスッとするところもたくさんあり、ちょっとホッとする。
が、物語はどんどんと暗雲が立ちこめ。狂信的なイスラム過激派、そしてあのキレイな女性。。。「あなたのイスラームと私のイスラームは違う」みたいに言われてたよね。信仰自体には善悪はないと思うが、ある人の善が別の人の悪になる恐怖。
ラスト、黒いヒジャブが空に舞っていく、どんどんと増えて。
頭ではなるほど、と思ってるのに、嗚咽してる自分、という不思議な体験でもあった。
「ラシーダ」や「パピチャ」と同じ時代とのこと。どちらも好きな映画だったな。