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オーメン:ザ・ファーストのmのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.8
凄く良いじゃないですか・・!
1作目とあの時期の映画(画のルックとズーム!)にリスペクトを捧げつつ、この映画は更に上を目指すと宣言するような冒頭のシーケンスでまず刮目。
その直後、穏やかな音楽と美しい光に包まれて希望と存在感と共に主人公が初登場するシーンでも映画的な演出の巧さが明確に見える。アルカシャ・スティーブンソン監督は長編映画を手掛けるのはこれが初との事だけど、見事なセンスと力量が全編迸っていて素晴らしい。今後要注目の監督だと思う。あまり『女性監督だから』みたいな事は言うべきではないけど、同じマタニティホラーでも「ローズマリーの赤ちゃん」のような悪い意味での気持ち悪さが今作には無いのは監督が女性だからというのもあるのではと思う(勿論気持ち悪い事は気持ち悪いとこの映画は徹底的に描いている。これちょっと見てもらわないと理解してもらえなさそうだけど)

今作で初めて設定される誰が何故ダミアンを誕生させようとしているかという部分には明確に宗教とそれを盲信し振りかざす保守的で愚劣な人間達への現代的な冷めた視点があり、そんな連中の安直で悍ましい思惑によって生み出され用無しになった女性達が地獄の運命の中で繋がる様にはこの映画の作り手達の熱い志=フェミニズムの思想が見えてきて、この映画のそうした冷静さと熱さに共鳴・関心した。懐古主義ではない、2024年の映画になっている。

主演俳優ネル・タイガー・フリーの心身を消耗しまくる大熱演は素晴らしくて、見事に映画のハートになっていた。どうかこの熱演が報われますように。
こういうジャンル映画に出て真剣にきっちりと役割を理解しこなしていくビル・ナイとチャールズ・ダンスには、1作目のグレゴリー・ペックへのリスペクトも感じた。


ジャンプスケア多めながらホラー描写も見事だった。配信では暗部が酷い事になって台無しになりそうな、映画館だからこそ体感できる限界ギリギリの暗闇で目を凝らすシーンは禍々しくて愉しい。音響効果も拘っているので映画館向きです。
1作目の有名な死に様を絶妙に想起させつつ少しアレンジした惨死の数々も印象的で、個人的には最初のアレと車のアレには喝采しました。車のアレは抱えてる側も近くで見てる側もトラウマ必至だね。



中盤の出産シーンで一昔前のAVみたいなクソ雑なモザイクがかかるのは流石に配給会社の仕事が適当すぎると思う。作り手に失礼だよ。


もはや映画自体よりも有名かもしれない「オーメン」のテーマ曲はゴジラのテーマ曲みたいなもので、一番効果的な所で流せるかどうかが鍵なんだけど今作はそれを最高の形でやってくれる。

一緒に見た友人の『この映画を観て、ダミアンがなんで最終的にサム・ニールになって弱くなったのか納得した』という感想には笑いつつ確かに納得。個人的にはこの結末の先の大バトルを観てみたい気持ちもあるけど、それはまた別の話という事で。
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