『オーメン』のウェルメイドな惨殺シーンで食らった身としては、いまひとつなショットに気迫を感じられなかった。
主演のネル・タイガー・フリーの演技は素晴らしかった。子を産み落とす前兆のシーンはコンテポラリーダンスのような振り付けで圧倒された。
自身の出生とお腹に宿らされた命の2つの恐怖が同時に襲いかかるのは上手いとは思う。教会側が切望して生まれた赤子を、教会への反発を示していたマーガレットに容易く手渡すのは、あまりにも整合性がない行動で冷めてしまった。
特筆しておくべきなのは、重要なショットでのモザイクシーンだ。作品と映画制作すべてに携わる人へのリスペクトを感じられない。あのシーンは映画としてのハイライトに当たるシーンで、監督しても勝負のショットだったと思うと、配給会社が下した決断はあまりにも残酷だったと思う。