マーフィー

箱男のマーフィーのレビュー・感想・評価

箱男(2024年製作の映画)
4.3
2024/08/25鑑賞。

「箱男を意識する者は、箱男になる」
私の推しの作家さんが、「匿名性は買い戻せない」と言っていたが、取り戻す方法はあった!箱をかぶるのだ!!


コジプロファン、メタルギアファンとしては見なくては...という思いで即鑑賞。
全然そういう狙いがあるわけではないと思うけど、オチの境界を飛び越えてくる感や、ダンボールの洗濯機の型番「MG-RX890」が「METAL GEAR REX」に読める(パンフレットによると全然違う理由)のに勝手に運命を感じてしまった。

箱男が全力疾走したり、回転しながら殴ったり、階段を転げ落ちたり...箱男アクションがめちゃくちゃよかった。
動きが綺麗すぎる...これぞ芸術......。
そして満点の星空と箱...いいね。

アート色が強い作品に見えたけど、
話の流れはそこまでややこしくはなかった。
原作者の「娯楽にしてくれ」という要望を上手く達成している形なんだろうなと思った。

画の強さと突然音楽が止まる演出が、設定のシュールさをより引き立てているように思った。
笑ってしまうところがめちゃくちゃあった。

時代設定に合わないものが時々てでくるの流石にあえてだとは思うけど、果たしてその意図は!?
個人的にはめちゃくちゃで良いのやけど。
「全ては妄想の中の出来事じゃないか」



箱男はやってること自体もその目的も普通ではなく、「匿名性をまとう者」であるがゆえに、人間っぽさが排除されたミステリアスな者なのかと思いきや、
めちゃくちゃ人間臭くて良かった。
人間臭いからこそ匿名性の殻をかぶり箱の中から社会を監視する。まさに現代の私たちと同じ。
また匿名性を求めながらもノートに自分の存在証明を残すところも、どこまでも私たちとリンクする。
何から何までが異質な箱男の中身は、どこまでも私たちと同質だった。
こんな小説を1970年代に書き上げた安部工房は、言うまでもなく天才...。






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箱男とは、すなわち......、
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