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オリガ・スミルノワのジゼル in cinemaのMypageのレビュー・感想・評価

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スミルノワの気が狂う表現が凄すぎて呆れてしまった。
恋人の裏切りを知ってショックで死んでしまうなんて通常すんなりのみこめないことを、会場の隅々にまでそうでしかないと思わせてしまう説得力。それがまったく安っぽくならない表現力。
一幕が閉じる瞬間、会場全体がジゼルの絶望のために呼吸をしていると感じた。
あらすじはなんとなく調べてから観に行ったのだけど、一幕はひとりの女をふたりの男が取りあうというわかりやすい図式で見やすかったのだが、村人のダンサーのソロがたっぷりあったのがよかった。そのあとのスミルノワのソロはそれより短かったのに、実力を見せつけられて圧巻。バレエ観るの初めてだったのだが、これはスポーツじゃんと思う。飛びすぎ跳ねすぎ回りすぎ。舞台上はオレンジ色の明かりに包まれて、群舞は幸福感がすごい。
そして二幕がずっと墓場なんだという意外さ。ゆーれいというのをどうやって表現するんだろうと思っていたら、ほんのり青白い墓場の木々の影のうしろを、ツーっと斜めに移動するヴェールを被った真っ白い人影にゾワッとする。(あっ、なんかいる…!)ってやつ。黒沢清ばりの。これは間違いなくユーレイだとわかる…袖からゾゾゾと集まってくるヴェールの女たちの集団も怖い。
ただ二幕ではアルブレヒトをもっとぼろぼろになるで踊らせて欲しかった。
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