Omizu

ZのOmizuのレビュー・感想・評価

Z(1969年製作の映画)
4.0
【第42回アカデミー賞 外国語映画賞、編集賞受賞】
『ミュージック・ボックス』コスタ=ガヴラス監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品され審査員賞と男優賞(ジャン=ルイ・トランティニャン)を受賞、アカデミー賞でも作品賞他全5部門にノミネートされ、外国語映画賞と編集賞を受賞した。

DVDが廃盤になってしまっているのが残念。VHSを買って観たけど、観やすい環境になればいいなぁ。

さすがガヴラスという社会派作品だった。政治サスペンスとしてしっかり期待に応えてくれる。後味の悪さも良い。

1963年、王政時代のギリシャを舞台に、グリゴリス・ランブラキス暗殺事件を描き、この当時のギリシャでは上映禁止になったという。

淡々と語られるものの、テーマは重い。言論の自由、ないし集会の自由が迫害されるギリシャの様子がキリキリと締め上げられるように描かれていく。

そんな中抗い続ける革命家たち、そして自らの職務を全うしようとする検事を見事に捉えている。ガヴラスの作品はどれも真綿で締め付けられるような痛みがある。あっさりと語られるその後が容赦ない。救いのない現実がそこにはある。『ミュージック・ボックス』もかなり衝撃だったけど本作も。

カンヌ映画祭での受賞は納得だけど、アカデミー賞でもウケたんだ。淡々とした社会派なのでそこは違和感あるけど、このクオリティは確かに評価されて然るべきかもしれない。

ガヴラスの直近の作品は観ていないので比較はできないが、『ミュージック・ボックス』で受けた衝撃は超えないもののしっかり期待に応えてくれる良質政治サスペンスだった。
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