【Report with fire】
Netflixヒンディー新作。シャールクの会社製。
タイトルの意味を調べず見始めたが、途中でわかるので無問題。むしろ知らない方がいい。
インドな誇張演出は抑えた、お行儀よい佳作。本作の製作意義には大賛成ですが。
『スポットライト』や『SHE SAID』の流れにあり、インド的には『燃え上がる女性記者たち』をフィクションで見直したような…草の根ジャーナリズムの奮闘劇。
弱小メディアによる、隠された少女虐待の告発で、腐ったシステムにどこまでオペができるのか?…まあ、完治に程遠いのは、見る前からわかることだけど。
インドあるある、蔓延る有害男の権力が、彼らにとって有害なものを潰しにかかる。で、システムは蚊帳の外まで呑み込んでおり、周囲も黙殺しないと自分が危うい。
目撃証人の扱いが象徴的ですが、本作特有の綱渡りとして、蚊帳の外にいても見て見ぬふりは罪だ!と訴えている。
あの証人も気の毒だと思ってしまうが、彼女にそこまでやらせないといけない程、インドは腐っとるってコトなのですね。
実在の人物でない?故か、告発するヒロインの動機がヒロイック過ぎるとも感じるが、その訴えはごく真っ当で、応援したくなる。
演じるブーミ・ペードネーカルは美人過ぎず演技し過ぎず、映画の誘導役に適切かと。最後に演説しちゃうのは、もはやインド娯楽映画の病理か?と思わないでもないが。w
でもインドって、娯楽映画枠でこうした問題を適宜、扱うのはエライと思うよ。
例えば、伊藤詩織さんの問題をフィクションにするなど、日本じゃ中々やらないでしょ。松っちゃんも実はハーヴェイ・ワインスタインかもしれないが、『SHE SAID』のような映画の登場も期待できない。
本作だって、病根までは抉り出していないが、大衆娯楽の視界で問題を見える化しておくことは、意味ある行為だと思います。
ヒロインとコンビを組むのがクールな天然へんなおじさんで、すんごく、いいお味。
<2024.2.16記>