雨ざらし君

トラップの雨ざらし君のレビュー・感想・評価

トラップ(2024年製作の映画)
3.6
シャマラン監督ってだけでも観なきゃ!と思ってたんだが、やたら低評価レビューが目について劇場で観るのを迷ってた。でもランチ休憩の時間にピッタリだったし仕事がヒマだったし期待値ゼロにして鑑賞。

ーーーなんだよ、おもしろかったよ!
僕はすごく好きだよ『TRAP』🦭

※このあとネタバレ。
思ったことを五月雨式に書いていく。










◯ピーターの母親は彼が持つ歪んだ部分を知ってたから、厳しく直そうとした過去があった。ピーターにとってはそれがトラウマだったんだろうな。シリアルキラーの多くは子供時代に精神的虐待を受けていると言われているしね。

◯地域に溶け込み真っ当な生活を送りながらも、社会的に優れた人ばかりを狙って殺害するという一面があったピーター。これも母親の「ちゃんとした人になるように」という躾が裏目に出た結果だったんだろうな。どう足掻いてもちゃんとした人になれないピーターは恨みを晴らすかのように社会的に『完璧な人』を狙って殺人を繰り返していたから。完璧な夫、良き父であろうとしたのもトラウマのせいだったんだろうなぁ。

◯凄腕プロファイラーが白髪のおばあさんでびっくりしたけど「なるほど、これは男社会の政治力の恩恵なぞなくとも実力一本でのし上がってきた有能な人物として、白髪の婆さんというキャラクターにしたのだろう」と勝手に解釈。でもラスト、妻に盛られた薬(筋弛緩剤?)のために朦朧としていた時に、プロファイラーを母親と見間違ったので、おお!このための装置だったのか!と理解。

◯いささか事がうまく運びすぎる感はあるけど、彼がこれまで数々の殺人(しかも賢い人ばかり仕留めた)で培った知恵と機転なのだろうな。そう思っといたほうがこの映画は楽しめる気がする。綿密なリアリティを求めるよりかはね。

◯レディ・レイヴンって、シャマラン監督の娘さんなんですってね!あらやだ美人な娘さんだこと!彼女がピーターのガレージで車に乗せられたときに訴えかけた言葉は、きっと凄腕プロファイラーに「犯人のトラウマは母親の躾。母親が子供を窘めるような言葉に平常心をかき乱される可能性あり」と聞いていたのではないかと予測。ライブ会場でモニターを自ら見に行って捜査状況を確認するくらい事件に関心あったし、ライブ中に「人を許そう」というメッセージを披露するくらいだから、正義感と優しさを持った女の子なんだろうなぁと。すぐ通報したら人質が殺されちゃうしね。勇気を持って追跡しようとした姿にグッときた。

◯憧れのレディレイヴンのライブに行けて、その上ステージに上げてもらえて、しかもおうちにまできてくれて、自分たちだけに弾き語りをしてもらえて、人生最高の日だった娘のライリー。でも愛する父がシリアルキラーだったなんて!幸不幸の高低差ありすぎて耳キーンなるわ…イジメもあったみたいだし、今後の人生が心配。

◯ライブ会場を罠にした理由がイマイチ腑に落ちなかった。頭のおかしい男が追い詰められたら犠牲者が増えるとか考えそうなものだけど…
でも手がかりはレディ・レイブンのライブだけだし、行方不明者の生死が不明の今、早急に手を打たないと!ってことなんだろう。凄腕プロファイラーの思い切った作戦ってことなのか。

◯妻レイチェル曰く「夫は嘘が完璧」。だから単に通報して警察が家にやってきたとて、口先で言いくるめてしまいそうだし、自分が通報者だとバレたら子供も自分も危ないと思ったんだろう。そして「夫が犯人ではないかもしれない」という一縷の望みもあった。だからレディ・レイヴンのライブチケットのレシートを置いておくという消極的なヒントを残した。彼女の葛藤の表れだったのかな。

◯口の軽いグッズ販売の男。欲しかったライブTシャツを他人に譲るように娘に促す良識ある父親の一面を見て「この人はいい人、絶対ブッチャーではない」と思い込み、ライブが罠だという秘密を口外してしまう。分かる、分かるよ。興味ある事件の関係者に聞いた秘密って誰かに話したくなるよね!

◯ジョシュ・ハートネットの演技が素晴らしかった。人のいい子煩悩な父親の顔から、怒りをあらわにしたシリアルキラーまで、とにかく色んな表情が観られた。最後の笑顔なんて鳥肌が立ちそうだった。バットマンの敵役になれそう。母親が抑えようとしていたバケモノがとうとう「良き父親」の仮面を全て脱ぎ去って現れ出てしまった感じ。

◯『TRAP』、パーカー、妻のレイチェル、レディ・レイヴン、プロファイラー、みんな罠の掛け合い化かし合いだった。題字が一部欠けてるデザインなのは、パーカーが自分を「人として一部が欠けている」と言ってたからか。

は〜、おもしろかった。
雨ざらし君

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