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成功したオタクのkchのレビュー・感想・評価

成功したオタク(2021年製作の映画)
3.5
抑圧と競争、権力とホモソサエティの先にある産物。推しが犯罪者になったとき、推していた自分はその犯罪に加担していないのは明らかだが、だからといって掌を返すように「死ね」などと言って糾弾するのは過激な監視社会そのものだと思った。ので、途中の監督のモノローグ「なんであろうと、生きていて欲しい」はとても切実に響く。たとえ自分が好きな人が、犯罪を犯したとしても、生きていて欲しい。

ちなみに件の事象については知らなかったので、観終わってから調べた。なかなかの深刻さがあるということは分かったので、彼女たちがこんなにも怒りを露わにしている理由もようやく理解。

誰かを信頼することにトラウマを感じてもまた、誰かを信頼しようとしてしまう未来はくる。過度な期待はよくないと分かっても、また別の誰かに期待をしてしまう。懲りないよね。
しかし、劇中に映る韓国のファンダムは「完全体」をアイドルに期待しており、それはいくらなんでも無理が生じるようにも思った。アイドルは人間だから、どうしたって間違いや不和は生じる。性加害は悪だけれど、常に倫理的に正しい、が24/7期待され続けるのは荷が重いだろうなあ
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