1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された事件の、現在に至るまでの顛末を映したドキュメンタリー映画。
犯人と目された人物が死刑判決を受けてからわずか2年という異例の早さで刑が実行。
だが、罪を犯した決定的な確証がないことが徐々に明るみとなっていく。
事件の当事者となった新聞記者や弁護士、警察官らへのインタビューが繰り返されるのだが、それぞれの職業的な使命感や視点が異なるため何が真実なのかと堂々巡りにさせられる。
若かりし頃から事件を追ってきたベテラン記者が「複数の正義を相対化させた上で、何が正しいのかを判断するべき」という言葉は当たり前なのかもしれないが鬼気迫っていて重みがありハタと考えさせられた。
分かりやすい二項対立では到底括れない曖昧でグレーな領域を描いた大傑作。