はなこたちゃん

正義の行方のはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
5.0
事件当時のDNA鑑定による
『重要参考人浮かぶ』
というスクープ記事
これを書いた
地元西日本新聞の記者だった宮崎氏が
約30年後に語る自戒の念。
『どこか一つの正義に寄りかかるんじゃなくて、いろんな人の正義を相対化して、取材して記事を書くという考えに至った。今の私だったらスクープ記事を踏み止まるでしょうね』

同新聞社の傍示氏と宮崎氏は
元死刑囚の死刑執行後
2018年から2019年にかけて
83回にわたり再検証記事の連載を立ち上げ
飯塚事件の取材に関わったことのない2名の若い記者たちに託した

その記者が語る様に
もはや元死刑囚が
無実だったか否かを知ることは
難しい
でも司法の上で
無罪か死刑かを考えると
無罪ではないのか…⁉️

死刑確定から役2年で刑が執行されたことも
その後の『足利事件』のDNA再鑑定→無罪確定
と関係があるのか⁉️
(『足利事件』の捜査でも同じMCT118型のDNA鑑定が行われていて2009年の再鑑定の結果DNA型が一致せず
その後の再審で無罪が確定している)



事件の真相は藪の中だけれど
この西日本新聞の記者の方々の
誠実な姿勢と

『自分たちが久間さんを殺したのではないか』という自責の念に駆られ
死刑執行後の再審請求という
厳しい状況に挑み続ける
徳田靖之弁護士と岩田務弁護士を
はじめとする弁護団の
真摯かつ情熱的な姿には
唯一希望を感じました




元死刑囚について問われ
『我々はもう全ての捜査を尽くして久間にたどり着いた。確信を持っているが、はっきり言って柱の1本1本は弱いんだ。4本を束にして審理してくれれば間違いなく有罪に持ち込めるが、1本1本をバラバラに検証されたら無罪判決が出てもおかしくない。
それはもう裁判官が決めることで
それが認められたということだ。』
と自信を示す元警察官と
さまざまな状況証拠から
『久間元死刑囚が犯人だ
120パーセント間違いない』
と言い切る元捜査員

(本作では編集されていた様だけれど
確かNHKで放送されたTV版では
同じ質問に対して『刑事の勘です』とも言っていたと記憶している)

『死刑事件ですからね
慎重に捜査をしてますよ
再審にでもなって
後で色々言われたら
いけませんからね』とも…


裁判で状況証拠が認められたとはいえ
容疑者の自供や物的証拠もない事件で
新聞記者の方々が
『今でも重い十字架を背負っている』と述べられたり、当時の記事に関して再検証を特集するなど
事件と向き合い続けているのに対して
警察関係者の方々が
少しの疑念も抱かず
『間違いない』と断言される姿に
私はどうしても違和感がある


当事者である
福岡県警
弁護団
地元新聞の記者たち
それぞれの正義…



追記 2024年6月4日再審請求棄却は残念