「何もするな」
クリスマスの空港で恋人を人質にとられた保安官が孤軍奮闘するお話。
最近ネトフリで配信開始されたサスペンス映画です。
監督は皆大好き「蝋人形の館」や「ブラックアダム」でお馴染みジャウム・コレット=セラ。
「キングスマン」のタロン・エジャトンが主人公のイーサンを熱演。
因みに日本語だと「タロン・エガートン」表記が多くて俺も最初はそっちで覚えていたけど、正しくは「エジャトン」です。本人もよく間違えられるようです。
脚本の一人マイケル・グリーンはセラ監督と「ジャングル・クルーズ」でもタッグを組んでいましたが、個人的にあまり好きではない「エイリアン コヴェナント」やライアン・レイノルズの代表作「グリーン・ランタン」の脚本もしていてぶっちゃけそこは不安ではありましたね。
え、滅茶苦茶ハラハラドキドキ出来る傑作じゃないですか。
イヤホン越しに「これから来る荷物を見過ごさないと恋人を殺す」と脅されてからは、常に監視されているのと、恋人に死の危険が迫っている恐怖で観ているこちらまで気の抜けない展開で久々にここまでガッツリ物語に惹き込まれました。
イーサンも何とか出し抜こうと色々策を練るも、あと一歩の所でバレてしまい一筋縄では行かない様な流れ作りも上手かったです。
観察力の鋭さを示唆する演出もワクワクしました。
そんなイーサンにイヤホン越しで指示を与える犯人側には、「モンスター上司」や「ゲーム・ナイト」等コメディ映画に多く出演しているジェイソン・ベイトマン。コミカル要素ゼロでしたが、こう言う演技も様になっていましたね。
偽捜査官役で名作「アップグレード」、「インビテーション」のローガン・マーシャル=グリーンが出ていたのも嬉しい所でした。
タロン・エジャトンも事情を知っているのが自分だけな不安や、恋人が狙われていたり犯人の運ぶ荷物の正体を知った時の苦悩でどんどん精神的に追い詰められていく表現がバリ上手くて、これまた作品に嵌まって行ける要因でした。
一度心が折れかけるも、機転を利かして文字通り突っ走っていく展開はベタならではの胸熱シーンでした。
基本的には他の登場人物のキャラとかやり取りとかも良かったけど、強いて言うなら最後の最後で犯人の詰めの甘さが目立ってしまったかなと。ただあのタイミングでイーサンの「やる気が出た」は格好良かったです。
まぁあんな所に保管(?)して大丈夫なのかとは思いますが、普通に何とかなるのかしらん。
ラストカットがアレのズームなのも、これぞ王道って感じで素晴らしかったですねぇ。
これはスクリーンでも観てみたい作品でした。
ネトフリオリジナルって、ホラー以外は割と当たりが多いのかな。
高校生の頃に「蝋人形の館」を観た時は、まさかこの監督が後にこんなストレートな傑作を撮るようになるとは微塵も思わなかったよね。