ぶみ

恐怖の報酬のぶみのレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(2024年製作の映画)
3.0
制限時間は24時間。

ジュリアン・ルクレルク監督、フランク・ガスタンビドゥ主演によるフランス製作のアクションで、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督による1953年の同名フランス映画のリメイク。
砂漠の油井で発生した火災の更なる大惨事を防ぐため、ニトログリセリンを運ぶ任務を担った主人公等の姿を描く。
クルーゾー監督によるオリジナル及びウィリアム・フリードキン監督による1977年のハリウッド・リメイク版は鑑賞済み。
主人公となる兄弟、アレックスとフレッドをアルバン・ルノワールとガスタンビドゥが演じているほか、ソフィアン・ザマニや、アニッサ・ボンヌフォン監督『ラ・メゾン 小説家と娼婦』で主役を好演したアナ・ジラルドが登場。
物語は、中盤までは傭兵のフレッドと、彼の身代わりに逮捕された爆発物の専門家であるアレックスのやりとりが中心となり、実際にニトログリセリンを運ぶことになるまでが、やや長いのは前二作と同様。
そして、中盤以降は太陽光発電所から800km離れた油井まで24時間以内に2台のトラックでニトログリセリンを運ぶ様が描かれるのだが、前述の前段といい、運ぶ様子といい、多少のオマージュはあるものの、ニトログリセリンを運ぶという大枠のプロット以外は、ほぼ別モノと言っても過言ではない展開となっている。
特に前段でクライムもののようなアクションシーンがあり、当然の如く映像にも古臭さは一切ないため、序盤から飽きさせないようにしようとする意図は伝わってくる反面、肝心の運ぶパートにおいて、何もない荒野が最初から最後まで続くことから絵面にあまり変化がなかったり、はたまた肝心のトラックが、前二作では手作り感が半端なく、あたかも生き物のような不気味な雰囲気を醸し出していたのに対し、本作品では2台とも同じような軍用トラックと、非常に素っ気ないものとなっていたのは残念なところ。
ただ、クルマ好きの視点からすると、新旧のトヨタ・ランドクルーザー、三菱のストラーダやパジェロがカーチェイスの末に派手にクラッシュと、結構日本車が活躍していたのは嬉しい限り。
24時間のカウントダウンが時折挿入される演出もあり、サスペンス色を強めようと頑張ってはいるものの、オリジナルやフリードキン版リメイクを知っている身としては、ピリピリするような緊張感は遠く及ばない内容なのだが、裏を返せば、本作品だけで考えるならば、映像をテレビやタブレットで観る分にはチープ感はそれぼどなく、純粋なアクションとして普通に楽しめるとともに、主演のガスタンビドゥが時折見せる表情が、ワイルド・スピードシリーズのヴィン・ディーゼル演じるドミニク・トレットのようだった一作。

規律を教えてやる。
ぶみ

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