2024年413本目
朗報:プアの出番が増えた
海に選ばれた少女・モアナが繰り広げる冒険を描いたディズニー・アニメーション・スタジオ製作の長編ミュージカルアニメ『モアナと伝説の海』の続編。
壮大な冒険から3年、妹のシメアが生まれて少し大人になったモアナは、愛する家族や島の仲間たちとともに暮らしていた。そんなある日、「かつて人々は海でつながっていたが、人間を憎む神によって引き裂かれてしまった。海の果てにある島にたどり着けば呪いが解け、世界は再びひとつになる」という伝説を知ったモアナは、人々の引き裂かれた絆を取り戻すため立ちあがることを決意。風と海を司る半神半人のマウイや島の新たな仲間たちとともに、危険に満ちた冒険の旅に出る。
監督を務めたのは、『モアナと伝説の海』にストーリーアーティストとして参加したデイブ・デリック・ジュニア。長編アニメーションを手掛けるのは今回が初。日本語吹き替え版には、モアナ役の屋比久知奈、マウイ役の尾上松也らが続投するほか、小関裕太、鈴木梨央、山路和弘、ソニンらが新たにキャストに加わる。楽曲を手掛けるのは、第64回グラミー賞最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞で同部門最年少受賞を果たしたアビゲイル・バーロウとエミリー・ベアー。さらに前作に引き続き、『ライオン・キング』や『ターザン』などを手掛けてきたオペタイア・フォアイとマーク・マンシーナも楽曲を担当する。本作はDisney+配信のテレビシリーズとして製作が始まったが、劇場公開用の続編として再構成されたもの。
本作は、前作で壮大な航海を経て村のリーダーとなったモアナが、「海でつながる人々」という伝説を追い求めるお話。前作同様、物語を通じてポリネシアの歴史や神話を深く掘り下げており、文化的なリアリティが物語の厚みを増幅させている。ポリネシア諸島の人々が海を介して形成してきた独自の文化の象徴がモアナの冒険に重ねられることで、個人の成長を越えた壮大なスケールを感じさせる。今回の冒険には新たな仲間たちが加わり、リーダーシップとは単に導くことではなく、異なる価値観や個性を調和させる力であることを伝えている。
新キャラクターたち、ロト、ケレ、モニといった島の仲間たちは、異なるスキルや背景を持つ個性豊かな存在として登場するが、彼らの役割が全体として散漫であり、物語への影響力がやや薄かった。キャラクターの配置や活用方法には改善の余地があったような気がする。までもカカモラはかっこよくて好きだ。前作の相棒であるマウイも再登場するが、新キャラクターたちに焦点が移った結果、モアナとマウイの絆や共闘の熱量が前作ほど伝わってこなかったのは残念。また、一部の設定や展開が分かりづらい点(例えば彗星が爆発する理由)は、物語の没入感を損なう要因となっていることも否めない。
本作で特筆すべきは、ディズニーの最先端技術を駆使した圧倒的な映像美。海の表現はさらに進化し、水しぶきや波の動きなど、もはやアニメーションとは思えないレベルにすごい。
アクションシーンもスケールアップしており、モアナたちが次々とピンチに陥る様子はエンターテイメント性に溢れている。特に、巨大な貝との遭遇シーンは、迂回できないのかという疑問点も浮かぶが、3DCGアニメーションならではの壮大さが際立つ。
音楽は本作の大きな強みのひとつ。新たに参加したアビゲイル・バーロウとエミリー・ベアーのコンビが生み出す楽曲は、エネルギッシュで感情を揺さぶるものであり、映画のテンポを支えている。前作の名曲に匹敵するほど好きな劇中歌はないものの、印象的なサウンドトラックが冒険にさらなる深みを与えている。
3作目はほぼ確定路線なんだろうし、その前には実写版の公開も控えているので、モアナの次なる冒険を楽しみに待ちたい。