ちゃくろねこ

理由なき反抗のちゃくろねこのレビュー・感想・評価

理由なき反抗(1955年製作の映画)
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かなりはっきりと同性愛やセクシャルマイノリティの描写がされていて驚きましたね。
ジェームス・ディーンとナタリー・ウッドという、華のある主演2人のロマンスを隠れ蓑にしているけれど。

1950年代といえば、パトリシア・ハイスミスが「キャロル」の原作を執筆するも、実名で公表できず偽名で出版していた時代。
本作「理由なき反抗」でも、この時代のメディアに登場した同性愛者のご多分にもれず、ゲイの少年は孤独のうちに悲劇的結末を迎えることになる。
でも当時の製作者としては精一杯の描写だっただろうし、アメリカの同性愛差別が最も苛烈だったこの時代に、人気俳優を起用したハリウッド大作で、こういった描写がされていたとは…。この映画そのものが、反骨精神溢れる、理由ある反抗心を持った作品だったのでは。

プレイトーの、左右色違いの靴下。これは彼の不安定な性自認(もしくは性的指向)を表すメタファー。ジムはその靴下を見て笑うのだけど、それは馬鹿にした笑いではなく、友人としての愛情を向けた笑い。
ジャケットのシーンも象徴的で、2人の関係の変化が分かりやすい。
それから、ジュディと父親の場面も、禁忌の愛という点で、当時の社会では自由に愛を謳歌できない人々の苦悩を、示唆している気がする。
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