※原作既読
押山清高氏が監督ながら脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督(単独)・原画(全体の半分のカットを担当)と大半を手掛けた異質の映像化。それは漫画家が描いた漫画家の物語を同じ絵描きがアニメにした作品の強度に繋がっている。通常のアニメはない、原画の線が画面に出る原動画という制作工程もあり、本作に掛ける作り手の熱量を感じられずにはいられない。エンドロールのクレジットがキャストよりアニメーターが先に流れるのも面白かった。総じて作品外への注目ポイントが多い作品。また、昨今のTVアニメの映像は劇場版クオリティと評されることもあるが、本作は紛れもなくTVアニメにはない劇場作品であった。
基本的に原作準拠で描かれる中、4コマ漫画のシーンは時折アニメーションにしていたのは意外性があった。それに原作既読で結末も分かっている身でも、その豊かなアニメーションで心揺さぶられる。特に上空からキャラに寄っていったり街の群衆をかき分ける背景動画を惜しみなく見せていくのは印象に残った。
総じて原作あり劇場作品の究極系の一つと言えるのではないだろうか。