もちろん原作は言わずと知れたレベルでの大名作なんですが、喋って動くことで京本というキャラクターの愛らしさが何倍にもなっており涙腺の破壊力が何倍にも増している。
はじめて入賞の賞金で街に遊びに行くシーン。クールぶってしまう藤野との対比もあり、全ての仕草に広い世界への驚きと喜びが溢れておりたまらない。(京本がジュースを飲むのが下手なのは引きこもりだったから?という大島育宙さんの気づきにさらに泣かされた)
藤野の漫画を読むときのくしゃくしゃの笑顔にもやられてしまう。「なんで藤野ちゃんは描いてるの?」へのアンサーは「ファンを楽しませたくて→1番のファンである京本が側にいたから」ということだと解釈してるが、あの破顔一笑によりその説得力とだからこその喪失感が一段上がっている。
正直、徹頭徹尾クリエイターにしか共感がしづらいストーリーというのが原作からの印象だったが、作画の風味や声の演技が効果的に発揮されるとここまで普遍的に心を揺さぶる作品となるんだとアニメの力を実感する。
原作モノの映像化は「魅力をより広くリーチさせる」ことが命題だと思っているのでその点大成功だし、MVPは京本を演じた吉田美月喜さんだと思う。
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もうこうなったらより内省的で色んな意味で映画的な『さよなら絵梨』の劇場公開は待ったなし。あらためて原作を読み返したが、より漫画にしかできない表現に溢れていたので、換骨奪胎した実写化の方がいいかもとか妄想した。そしたらまた主演が河合優実さんになりそうだけど。