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エイリアン:ロムルスのせのレビュー・感想・評価

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)
5.0
「まだそんな方法があったか」の連続。
大(でぇ)拍手です。

ようやく鑑賞後の放心状態が解けました。
これ、映画館で観たからかなぁ...
「もう評価4でいいでしょ」って。(私にしちゃ高得点)←余韻すごいのでやっぱり5に戻しました笑

あんまり期待してなかったんですがとんでもない。大変失礼いたしんした。

プロメテウスからエイリアン4まで全ての作品の要素と、リスペクトが詰まっていてちゃんとそれが伝わる作品でした。
フェデアルバレス監督、ハッキリ言って凄い。



冒頭の20th century studiosがいつも通りの音楽かと思ったら最後不穏な音と演出でかき消されるところからもう私の心は鷲掴みされ、しかもそこからしばらく宇宙空間の無音が続く。

事件が起き、ロムルス内に響いていた叫び声なんて宇宙にはな〜んにも聞こえてなかったんだろう。
in space no one can hear you scream.
ですよ。
もう最初から大興奮。


主人公レインは20歳の、特に戦闘技術もなさそうな普通の女性。弟として側にずっといるアンディは実はアンドロイド。

シリーズの他の作品と比べて圧倒的に違うのはとにかく弱そうで常に困り顔なところ。
全く頼りにならなさそう。
会社の指示で動くのでは無く、レインの父親からの「姉を助ける」という使命の元で動くようプログラムされている。

タイトルの"ロムルス"はローマ神話でのローマ建設をした兄弟のうちの一人の名前。
本作は人とアンドロイドの関係を他作品のように「敵や仲間」とだけではなく家族として、きょうだいとして描いたのも今までにない新しさだったかと。


監督は新作を考えるにあたってエイリアン2でカットされた入植地のシーンが頭に浮かんだそう。
大人の入植者たちが働いているところにニュートなどの若い子達も混じっているシーンから「若くて大人ほど危機に対処できない」人たちの話はどうだろうと思ったらしい。

宇宙を舞台にした映画らしく静と、そこに訪れる恐怖による騒の差はそれはもう凄まじく、非常に楽しめた。
映画館でこそ、この良さは存分に堪能できると思う。

「そんな手が!」と思うところは本当に色々あって。
アンドロイドと人間の新たな関係性ももちろんだし、きちんと他の星に行くための準備や訓練を受けたわけでもない精神と身体どちらも未熟な若者たちが恐怖に立ち向かうところも余計恐怖を駆り立てるよね。

宇宙ならではの無重力を使った演出には正直驚いた。最初は画面で酔いそうになったよ。

終盤、その無重力を使ってゼノモーフを撃ち殺しまくりその血である空間に浮遊する酸を避けながら進むことになる主人公たちのシーンはドキドキしたし同時にシンプルに「その発想はエグい、すご〜!」と感動してた笑!

エイリアンファンならニヤリとしてしまうところもたくさんありました。

ひとつにイアンホルムの存在です。
一作目に出てきた、デヴィッド除くと唯一のヴィランとも言えるアンドロイドを演じていた彼が新たなルークという名のアンドロイドとしてご登場。イアンホルムはすでに他界しており、今回はCG。

上半身だけのアンドロイドが出てきたとき、その顔をなかなかうつさないんですよ笑笑
ビショップか、アッシュかどっちかかな?と僅かな期待を胸に楽しみに観てました。

そんで今回の事件の発端は一作目の終わりにリプリーが船の外に吐き出したゼノモーフであることを主人公たちに話すときにようやく顔がわかるのですが「あ!おまえ!」と心の中でscream。
しかも1作目のことを話す時にほんのりエイリアンのテーマが流れるという。
「なんちゅー粋な演出?!
フェデ〜〜愛してる!」と。笑

ルークも今回会社の指示で危険なことをやり遂げるため人間を操ろうと必死。
植民地で生き残る人を増やすための仕事ではあるからアレが絶対的に危険なことなのかはわかんないけどね。
あの存在感は1作目のキャラ性を考えるとイアンの顔にしたのは納得。
モデルが多分同じなだけで当然違うアンドロイドでしょうけど。

...にしてもこの世を去った今でもエイリアン作品に登場するイアンホルム、すごい。

ちなみにプロメテウスについて言及するシーンではプロメテウスのテーマが流れてましてもう私大泣き、はしてませんがなんかもうヤバ...完璧、たまらん。となってました。

感動と言ったら浅いし、なんと言えばいいのかしら?エモい?(←コレ嫌いな若者言葉だけど!)

あのプロメテウスのところは神話としてのプロメテウスかエイリアンシリーズのプロメテウスのことを指しているのかは一回観ただけなので理解が追いつかず。
メモも取れんし。笑

中身を切り替え、急に有能になったアンディ。
再起動までは固まって動かないのですがその間の白目で震えている彼の前方両脇で真空パック内のフェイスハガーが蠢き出てくる演出や、数々の犠牲者たちの顔を悲鳴と合わせてアップさせるシーンなどホラー監督らしいところもあってなんかちょっと他所の恐怖演出にも思えましたが結構良かったし印象に残った。

・今回のゼノモーフ
誕生するシーンのあの卵みたいなの、凄いいやらしい形だったし凄いいやらしい生まれ方。ここでそこまで言わない方がいいか笑
気持ち悪いけど面白い。
もう人間の出産そのものだったなあ。

あとさぁ産まれて動き始める手か足をアップで見せてくれるんです。
公開前にも話題になってたけど今回は映画全体として極力CG頼らない方向性だったらしく、エイリアンのアニマトロニクスを一体作ったんだとか。(動画出回ってたね)

CGにあまり頼らないからこそ、"そこ"にいる彼らの重みのある存在感がたまらなかったし顔のどアップも多くて最高だった。それはもう直接彼らの息を感じるようだったのでmx4dで誰か一緒にチャレンジしようよ〜笑

製作陣の「ココよく観てくれ!」という声が聞こえてくるような演出が多く、クオリティの自信が感じられました。

少しではあるけれど舐め回すかのような撮影方法で、細かいエイリアンの造形も楽しめるので感謝しかありません。

エイリアンを作った担当者の方はおフェデから「ゼノモーフの表面は粗く尖ったデザインで!」と言われたそう。全然気づかなかった。笑笑

いままでとちょっと違う見た目にしたのは「ウェイランドユタニ社がゼノモーフを捕らえて変化を加えたから」らしいです。
納得だね。

今回若い俳優がゴロゴロ出てきたけど特にアンディ役のデヴィッドジョンソンが凄くて。

弱くてもやっぱりこの作品では人の脅威になることが多いアンドロイドであることには変わりないので一見こちらの警戒心を解くような困り顔をしていても、観てるこっちとしてはどんどんその表情と存在感が怖いものだったり不安に感じてくる、ので悪く言うと気持ち悪い存在でした。

中身が変わって性能が上がった後もそうだけど演じ分けとか含めて存在感が他の人物と比べて別格だったと思います。

いままでのエイリアンシリーズのアンドロイドと比べるとまた別の怖さを描きだしていてこれまた面白いなと思いました。

アンドロイドいってもいろんなやつがいましたが、、、。
ハッキリと脅威となったのはプロメテウスやコヴェナントに出てきたデヴィッドとエイリアン一作目のアッシュかなと思います。

デヴィッドは一見親しみやすそうですがもうお腹真っ黒で最悪だったし、アッシュは真面目な感じで、最初の方なんて結構存在感が薄かったのに実は会社からこういう指示があって〜と指示に絶対的に従うからこそ邪魔者を消すことに容赦無いアンドロイドだからこその冷酷さには最初の印象と大きなギャップがあった。

今回のアンドロイドはもともとはいい奴で姉を守るために存在しているから害はないんだけど、元々の状態でもあの困った表情が怖くて。何しだすかわからんじゃん。
結局、物理で中身が変わったらちょっとした脅威になった、という訳で元は変わらないので安心したけど、中身が変わった後のあの特有の冷酷さは元々が柔らかく非力なイメージだったからこそ、怖さは印象に残ったね。

移動予定の星ではアンドロイドは禁じられている、というような台詞があったと思います。(一回しか観てないから違うかも笑)

あの考え方って我々のような、神を信じるとかの習慣がない人が多い日本では映画に入れることがないだろう要素だよね。

海外の一部では結構「人は神が創ったもの」とし、人が「人に似た何か」を作ることに対し受け入れられない宗教観の人々はいるそうで。(人に似たってとこがダメでそうでないロボットならokとかあるらしい。)

ここの星ではいいけど他の星ではアンドロイドなんて許されない、みたいなことがあり得る設定を作れるのはやっぱり日本には無理、というか、その発想にあまり至らないのかも。

今回はわんさかフェイスハガーも成体も出てきて虫と戦ってる感覚にもなりましたが、緊迫感や緊張感、そして話の進み方とスピード感は明らかに一作目を感じられるものでそこもとても楽しめた。

成体ではなくとも、成体自体は死んでも、残ったものとかですら充分人間にとっちゃ脅威で厄介な存在であることがよくわかる脚本になっていたなぁ。


主演のケイリースピーニーの飾り気がなく本当にそこら辺にいそうな女性の自然な存在感もリプリーぽくて👍

で、あの人型ラスボスよ。
アイツが1番怖いわ笑!!!!
間違いなくラストはホラーだったよ。

アレを見て4のニューボーンを思い出すか、
それともプロメテウスのエンジニアか。
私はどっちもでした。

人間をつくったとされるエンジニアが、その人間を滅ぼすために作り出したのがエイリアンのもと。

今回妙な注射を打ち、妊娠中の人から生まれたのが創造主のエンジニアに寄せた顔と質感だった、という...

監督が意図して寄せたのか、そもそも私の気のせいで寄せてすらないのかも知れないが、、おフェデはプロメテウスやコヴェナントから着想を得たものも今回入れたそうなので気のせいではないと信じたい。

映画史に名を残す、とても重要な作品の続編を映画館で観れてとても光栄でした。

音楽も映像も話も演出も演技も長さも、全て凄い良かったです。またみよう。
せ