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エイリアン:ロムルスのakiraのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

エンタメとしてすごくよくできてて、面白かった。かなり満足。
が、正直なところ物足りなさもちょっとだけある。

【よかったところ】

・アイディアの豊富さ
単純にエイリアンに襲われる⇨死ぬの繰り返しではなく、展開がバリエーションに富んでいるのがよかった。
歴史あるシリーズなのに、はじめてみるような斬新な見せ場もいくつかあって感動した。
とくに酸性の体液で人体に穴が空くところは、ちゃんとエイリアン特有のこわさポイントでありつつ、映像技術の進化を活かしつつ、グロ描写としても新鮮だった。
後述の伏線のうまさにもつながるけど、あのエグさによって、終盤の大見せ場である無重力アクションの緊張感もぐっと高まったと思う。

・伏線のうまさ
早い段階で無重力装置やら人体を透過するX線装置やらを見せていたり、「アンドロイドはときに人を犠牲にする」という挿話を入れていたり、スムーズに伏線が張られているので、後からそれらがストーリーに活きてくるときに唐突さがない。

・ショック演出のうまさ
カメラワークや音の使い方の妙なんだろうか、それなりにホラーは見慣れてるつもりだけど、それでもびっくりするところが多かった。
ずっとショック描写を警戒しながら見てたせいか、見終わった後すこしの間、些細な音にも敏感になってしまった。

・シリーズならではのSF的な魅力
エイリアンや宇宙船のデザインのかっこよさ、アンドロイドと人間の複雑な関係性など、「エイリアン」らしい魅力はしっかり味わえた。

・脇役たちの実在感
メインキャストがほぼ知らない若い俳優ばかりだったのもあり、ふつうにそこら辺にいそうな実在感があり良かった。
企業の奴隷として働かされている境遇も共感しやすい。
彼らがどうでもいいモブ扱いではなく、ちゃんとそれぞれ個性をもって描かれているからこそ、エイリアンの餌食になるときのこわさが増していたと思う。

・主人公のレイン
怯えたり不安そうにしてるときはふつうのかわいい女の子なのに、終盤では弟のために戦うときは勇ましくてかっこよかった。
見終わる頃にはすっかりケイリー・スピーニー(レイン役のひと)のファンになってた。

【物足りなかったところ】

・あんまりこわくない

ショック演出がうまいからびっくりはするんだけど、正直心の底から「怖い」っていう瞬間はなかったように思う。
宣伝などでは「1作目の恐怖に原点回帰」と謳われてたので期待してたんだけど、その点だけは物足りなかった。
"すごくよくできてて面白いんだけど怖くはない"というのは、同じフェデ・アルバレス監督・脚本の『ドント・ブリーズ』を見たときも思った。
このひとホラーじゃなくて、アクション映画とかの方がいいんじゃないかな、とか思ったりした。
MCUとかDCのユニバース作品に起用されたら、ストーリー上の制約もうまく処理しつつ、監督の個性が光る傑作をつくってくれるんじゃなかろうか。

【まとめ】
そんなわけで、ホラー映画としてはちょっと物足りなさもありつつ、でもこんなにサービス精神満点のよくできたエンタメを見せてもらって、文句をいうのも野暮な気がするし、絶対に嫌いにはなれない良作。
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