くまがい

めまいのくまがいのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
4.0
まだ運転免許を取りたての頃、ぼくが車線変更をしてはならないところで車線変更をしたとかで、見知らぬ老婆に尾行をされたことがあり(結局逃げこんだコンビニの駐車場で追いつかれ、わたしはゴールド免許なんだ!あんたのせいで失効するところだった!とさんざん怒鳴りつけられた)、当時の恐怖を想起しながら、バックミラーにおなじ車がずっと映っているのには結構気づくものだぞ、とファーガソンの尾行をながめていたが、後半に至ってなるほど問題なかったわけか、と妙なところで得心がいった。本作は自然の豊かさもあってか画のよさがとりわけ感じられたし(ミッジの部屋を映すときがよすぎる)、冒頭の転落死体に群集が駆け寄る光景の俯瞰が、中盤の水面にただよう花弁につながるのはかっこいいと思った。これまで観てきたヒッチコックのなかではもっともラカンみを感じた。あとほんとうにそれならサスペンスを観るなという話なんだけど全然ハラハラしなくて嬉しかった。
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