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真珠湾攻撃のmhのレビュー・感想・評価

真珠湾攻撃(1943年製作の映画)
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全米公開された32分バージョンのほうは、1944年のアカデミー短編ドキュメンタリー賞を受賞。
もともとの82分バージョンのほうは全米未公開で、戦後の日本でのみ公開という不思議な出自のドキュメンタリー。いま現在、DVDで見られるのもおそらくこっち。
もちろんパブリックドメインなので、短い方はYou Tubeにあるのかも?

本編もかなり変わってる。
ミッドポイントまでは、登場人物ふたりの密室会話劇。
アメリカの擬人化キャラ「アンクルサム」と、その別人格「ミスターC」が、ハワイを掘り下げる。頭の中で天使と悪魔が会話してるあれを真面目にやってる。移民の割合、日系人の特徴と生態。良い日本人でもないかわり、嫌な日本人でないハワイ市民としての等身大の彼らを伝えている。(これが引っかかって82分バージョンは当時未公開になったらしい)
超自然的な存在が会話をしているというコンセプトがとんでもなくすごい。
ミッドポイントから真珠湾攻撃。
ミニチュアとスタジオで撮影しているのがわからないほどの臨場感緊迫感は、モノクロ映画ならではのもの。これがまた本当にすごい。
作家性を消し去って黒子に徹してることに驚くのは、自己主張の激しい日本の特撮に慣れてるからってこともあるかと思った。
締めくくりも戦死者同志のダイヤローグで、超自然がすごかった。
これまでかなりの数のプロパガンダ映画を見てきたけど、ここまで変わってる設定も珍しいし、それが面白いんだから世話ないね。
あと、びっくりしたのは字幕翻訳のレベルの高さ。戸田奈津子の例を出すまでもなく、昔の字幕翻訳は信頼が置けないんだけど、これはそんなことがなくってむしろ素晴らしい。太田直子さんか。もう鬼籍に入っておられるのか。これから気にしてみようと思う。
面白かった!
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