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ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへのdoremifaのレビュー・感想・評価

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音楽がいかに個々人の歴史に密接に繋がっているかを思い知らされる。
室内でただただ老人たちの話を聞くショットが主なのだが、その老人たちとラジオ下神白のクルーの会話のグルーヴ感が何とも言えぬ心地良さで没頭してしまう。勿論、被写体のキャラクターが面白いというのは前提だが、小森はるかのドキュメンタリー作家としてのその場での振る舞い方が素晴らしいのだろうなというのを過去作の記憶を通して思う。
しかし、普段カラオケでしか歌っていない人達に合わせて伴奏も彼らに合わせてキープしようとサラッと言えてしまうアサダさんの凄さよ。

施設入居が決まったキヨシさん?が見せるラジオ下神白の面々が帰る際の表情が切ない。漁船で太平洋を渡り、パナマ運河を見、ブラジル女のアパートに泊まらせてもらっていた過去。
バースデーを祝ってもらいワインを飲み干す90歳、女に振られた後に加山雄三の「君といつまでも」を聴いていたと笑う隣の団地のボス。

最近亡くなったカラオケ好きの祖父がカラオケで何を歌っていたのかを今では知ることはできない、という個人的なことをふと思った。
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