ツクヨミ

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 4K復元版のツクヨミのレビュー・感想・評価

5.0
西部劇と南北戦争の惨状を尻目に、20万ドル金貨を探す旅路(ロードムービー)の果て究極のカタルシスを見た。
セルジオ・レオーネ監督作品。"ドル三部作"としてリバイバルされていた本作を見に行ってみた。
まずオープニング、"荒野の用心棒"に回帰したような動く漫画スタイルに線画でイラストをねじ込む荒々しさ、そこに毎度の如くのモリコーネのスコアでぶち上がるルーティーンの完成系を見る。いつも以上の銃声や大砲音が仰々しく鳴りデカデカとレオーネの名を映すまで、めちゃくちゃ今回大作感あるなと笑う仕様だった。
まあそんな本作はいつも通りマカロニウェスタンスタイルなんだが、前作"夕陽のガンマン"の二人の賞金稼ぎと悪玉の構図をさらにブラッシュアップし"the good.the bad.the ugly"とタイトルから三つ巴の人物構図だと掲示していく。クリントイーストウッドとリーヴァンクリーフ.そこにもはや彼が主人公といっても過言ではないイーライウォロックの存在がめちゃくちゃ良い味出してる。"荒野の用心棒"がクリントイーストウッドの物語、"夕陽のガンマン"がリーヴァンクリーフ、で今作がイーライウォロックの物語だと言っていいんじゃなかろうかこのシリーズ。
だがストーリーとしては前作のどシンプル攻防劇とは異なり、お宝のありかを探すロードムービーといえばわかりやすいか。三つ巴のキャラクターが騙し騙され20万ドル金貨を奪取するために旅をする、そこに今回は南北戦争の惨状を映し主要人物が戦闘に参加せず戦場を横切っていく感じが後のスピルバーグ"プライベートライアン"やサムメンデス"1917"に受け継がれている気がして仕方ない。お宝がある地を目指す旅の道中いろんな攻防がありやっとの思いで辿り着いた地で最後の大攻防が映される、ロードムービーでこれほどのカタルシスを見た作品は無いと言いたくなる快楽、永遠に語り継がれるであろう"Ecstasy of Gold "のスコアと共にまさに伝説級のラストに痺れた。
いやはやなんともイーライウォロックのキャラクターが人間臭いクソ野郎なのが意外にも今作の肝か、コメディリリーフとも言えるキャラクターで悪どい騙しで犯罪を重ねるくせしていざと言う時に下手にでる狡猾さ。もはやスコセッシ映画のキャラクターみたいな感じもあるし、"〜には二つある"という決まり文句がタランティーノ映画の"1〜.2〜"に受け継がれてる気すらしてくる、確かにタランティーノがベストワンに挙げるテイストもビンビンに感じた。
そしてシリーズ最強かと思うほどのショットの数々、ジョンフォードに近づきたいと言うばかりのロケーションの大迫力、室内ショットでの奥行きある構図、あいも変わらず目線のクローズアップで緊迫感を盛り上げる感じなんかも強く出ている。あとわりかしムービングマッチカット編集が多くてオッとなるうまい編集も素晴らしい、ラストのサッドヒル墓地のロケーションの大撮影はまさに伝説級のかっこよさ。
シリーズ最大級のスケールにしてモリコーネのスコアもやばすぎる大傑作で痺れまくりだった、特にラストのサッドヒルでの攻防はスクリーンで見てこそ、今作も例に漏れずスクリーンで見ないと見たことにならないほどの大画面映え作品ですな。
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