このレビューはネタバレを含みます
初日舞台挨拶の回。
監督や役者さん達のお話が聞けてよかった。
主演の子がとてもフレッシュで、それを優しく見守りフォローする岩井堂さんが素敵だった。
富山で撮影された今作は、監督が仰っていたようにどのシーンもポストカードになるくらい画も構図も素敵だった。学校の屋上のシーン、2人が並んでるところ、海の前の車と3人 などなど。
特に、天使が作った砂だるまのアップとか本当にポストカードが欲しいと思った。
明るい話ではないかもしれないけど、岩井堂さんを始めクスッと笑えるところがあって、それがとてもよかった。
天使は、ずっと見てたから物を知ってはいるけど何も持ってはなくて、経験しないと分からないことは何も知らない。水の味、ロコモコ、寒さ、あったかいこと。
80円建て替える代わりに1人で社交ダンスを踊り出すカフェの女性店員さん、
アリを踏んじゃったからと言って地面にしゃがみ込んで謝ったり、誕生日だというアリに向かってハッピーバースデーを鼻歌したりしている小学生の女の子、
クラスの賑やかな女子達を疎ましく思い、希穂が同類出ないとわかるとガッカリしていた同じクラスの女の子、
幼い頃に別れた娘が気づくようにと、ずっとタキシードを着てマジックを続ける男の人、
妻と娘を交通事故で失い、仕込みは毎朝するけど店を開けられず喪服も脱げないアフロの男の人。
みんなちょっとへんてこで、どこか欠けてて、でも一生懸命というかまっすぐな気持ちを持ってて印象的だった。
「いい子じゃないよ、アリ踏んじゃったもん。」「家帰らない悪い子だよ。悪い子だから誰も心配しないよ。」
「娘が覚えてるかもしれないでしょ。覚えてないかもしれないけど。」
「病気ですよね。」「天使がいるんです。いや、見えないけどね、感じるんだ。」
天使と希穂の言葉もどれも印象的だった。
「死にたいのに健康でいたいんだ。野菜ジュース。」
「それは、ただ味が好きなだけ。」
「天使だった時、どこにいたの?」
「このあたりかな。」
「意外と遠いなって思った。」
「嫌われたらやだなって思って。」
→近づいて手を握って、寝ちゃう2人がとてもよかった。
「私も希穂ちゃんもいなくなっちゃったかと思った。夢って怖いね。」
「楽しい夢もあるよ。たまに。」
「それぞれの初恋の話でもしよっか。」
「嫌です。」
「世界は存在して、希穂ちゃんはただここにいればいい。わかった?返事は?」
天使が消えちゃう時の音、貼るカイロが落ちた音で、
ラストシーンで鼻血を流す希穂の周りをくるくる戯れるようなレジ袋が可愛くて。
とてもよかった。
真白の恋とか、岩井堂さん出演作を観返したくなった。