道本咲希監督が長編初メガホンをとった本作は、不器用で前しか向けない写真家志望の女性と、彼女に振り回されながらも救われていく友人たちの日々を優しい眼差しで描いていく。
夏の大阪、写真家を目指している芸大生の草馬ナオは、卒業を控えるなか、写真中心の生活を過ごしていた。
同じ写真学科の友人である小夜、山田、多田は写真優先のナオに振り回されながらも、彼女の才能を認め応援している。
人生の選択を前に、時に傷つけ合い、時に励まし合う4人。
ナオの写真にかける情熱は彼らに様々な選択を迫り、やがて卒業した4人は夫々の人生を歩み始める。
4年後、久々に再会したナオと小夜、多田は、山田が失踪したことを知る。
劇中の登場人物たちは迷いながらも自分で考え、本質を追い求めて生きている。
本作は、カメラマンをはじめ映像の世界で生きる人々の群像劇とも言えるが、彼らの視点で描かれる物語は、我々の生きる社会と地続きで、彼らだけでなく我々の背中も前に進むよう、ぞっと押してくれているような気がする。