イロカワ

キラー・インサイド・ミーのイロカワのレビュー・感想・評価

キラー・インサイド・ミー(2010年製作の映画)
4.8
 フィルム・ノワールなのに暴力描写が凄まじい。女性を素手で殴り殺すシーンがあるのだが、革の手袋で殴られて膨れ上がり、裂けていく女性の顔が生々しくてエグかった。
 この映画めちゃくちゃ怖い。人間を理解できない男が主人公。西部の田舎町が舞台で、主人公はそこで生まれ育った。にも関わらず彼は、昨日地球にやって来た宇宙人並に全く人間の感情を理解できていない。他人に共感もしないし、常に相手を見下して論破できる隙を狙っている。
 めちゃくちゃリアルなサイコパス像。高度な頭脳なんて持ち合わせていない癖に、根拠のない全能感を持っており、自分が有能だと確信している。近所とかにいそうなレベル。普通の映画のサイコパスって殺人を犯す事が異常だと描かれるが、もっと根本的で日常的な部分が異常なのだ。この映画を作った人はそのことをよく分かっている。
 田舎の町でたまに経験する見透かされる恐怖や、自分の無力さに言い訳する残念な部分など、色んな要素が詰まっていてかなり満足しました。
イロカワ

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