イロカワさんの映画レビュー・感想・評価

イロカワ

イロカワ

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)

5.0

あちらからやって来た人とここに居る人が出会い、変化し、別れ、また出会う。映画っていうのはそれだけでいいはずなんだ。そんな当たり前の事に気づく映画。映画は関係性の変化を描くものだ。なら映画は必然と関係が>>続きを読む

夜を走る(2021年製作の映画)

5.0

ここ10年の日本映画がまとめてかかってきたとしても、この一本だけで圧勝できる。
 地方都市、廃鉄工場、死体、宗教、足立智充。日常会話を演出しながら、全く違う地平を見ている監督が作った恐ろしく野心的な作
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

 PMS vs パニック障害 本当に苦しいのはどっちだ!みたいな映画になるかと思ったが、なるわけないか。
 藤沢さんの家に山添が荷物届けに行って、何か起こるかと思ったら軽やかに自転車で去っていくのが良
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WILL(2024年製作の映画)

4.2

東出昌大の山を舞台にした巨大な箱庭療法。出てくる人たちの考え方がまるっきりバラバラで統一感がなく、監督の編集を感じなかった。でもそれってめちゃくちゃ凄いことだと思う。
ドキュメンタリーの中で演劇が出現
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

スープ飲みながら目があった瞬間の切り返し。悲しすぎる。
 平均年齢がびっくりするくらい高くて少女が出てこない。未来とか希望を感じさせるものが尽く画面から排除されていて、大体のものが古くて錆びついていて
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

-

長編だと思って見たら予告編だった。どこを見ればいいのか分からなかった。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

煩悩がなさ過ぎて怖い。過去にめちゃくちゃ悪いことしてるだろこの役所広司。もしかしてCUREの続編なんじゃないの?

BACK TRACK バックトラック(1989年製作の映画)

5.0

デニスホッパーの願望が完全に形になった映画。アラン・スミシー版と見比べるとよく分かるけど、こっちのバージョンはサスペンス的な面白さは結構削ってる。二人の逃避行が段々と結婚旅行みたいな呑気な感じになって>>続きを読む

カリフォルニア(1993年製作の映画)

5.0

大傑作過ぎるだろ。よく知りもしない人に中途半端に共感したらどうなるか最も過酷な方法で観客に突きつける。
そういう優しくて共感してくれる人のことを誰よりも理解しているのがブラット・ピット演じるサイコ野郎
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

5.0

ドーナツの中のミルクって言われないと気づかないけど、パンとドーナツを隔ている絶対的な何か。パンとドーナツの境目は本質的には確かにあるんだけど、それに気づく事は難しい。
この映画の中で善人と悪人を隔てて
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.8

なるほど。
あの日あの時あの会話、と言われても困る。やっぱり見せてほしい。余白が多すぎて想像力を試されているようなそんな気持ちになった。人との関係ってそういうものかもしれないが。色々な点で春原さん以上
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

5.0

拷問のシーンがめちゃくちゃ良かった。ずっとレバーを回してるやつがいて、そいつのせいで棘のついた車輪がありえないスピードを出して回っていた。加速し続けるあの車輪が恐ろしい。それを回してるのが人間っていう>>続きを読む

アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)

5.0

 冒頭のあの惨劇からしてやっぱりデニス・ホッパーは映画がうますぎる。デニス・ホッパーが映画なのか、映画がデニス・ホッパーなのか。
 同録のセリフとアフレコのセリフで会話をさせる演出が最高だった。演技と
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性賊 セックス・ジャック いろはにほてと(1970年製作の映画)

5.0

 同一空間の切り返しの中で彼の空間には雨が降っている、という演出に痺れた。発明的な演出であり、観念的な孤独が雨という形で主人公に降り注ぐ秀逸なショットだと思う。
 ただ、余りにも秀逸過ぎて足立正生は5
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群狼の街(1951年製作の映画)

5.0

やべえ!面白い!
車の中で待っている主人公の背景で淡々と進行する強盗。ワンカットでここまで見せてしまうの凄い。すごい挑戦的。
最後の群衆がマジで凄い人数集まっていて異常に盛り上がってた。こんな死に方は
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ザ・ファン(1996年製作の映画)

5.0

最初から最後までずっと狂ってるロバート・デ・ニーロ。そこに理屈も社会的な背景も感じないのが最高に良い。この人はずっとこんな感じなんだなっていう。野球が好きすぎて気が狂ってしまったとか野球のせいにしてな>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992年製作の映画)

5.0

 題名は刑事とドラッグとキリストとギャンブルでしよ。とにかくハーヴェイ・カイテルが駄目すぎる。1から10までクズ人間。そのくせ家は綺麗だからムカつく。
 刑事が主人公なのに、問題になっているのは野球の
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枯れ葉(2023年製作の映画)

5.0

めっちゃ面白かった。
連絡先が書かれた紙が風に吹かれて消えていく瞬間にこれは紛れもなく映画なんだと強く意識した。あのショットには映画を映画たらしめている何か強い力のようなものを感じた。めちゃくちゃ名シ
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

5.0

食人族はファウンド・フッテージ物だから荒い映像だからこそ最高なのであってリマスターなんてするんじゃねえよ。と、思っていたが見てみたら最高だった。
 綺麗になるとこんなに見やすくなるんだ。暗い所で動いて
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日本殉情伝 おかしなふたり ものくるおしきひとびとの群(1988年製作の映画)

5.0

何もかも懐かしくて悲しかった。
 この映画は一秒12コマで撮影されてて、全編にわたってトンチキで狂った雰囲気が充満している。なのにほぼ全てのシーンで泣きそうになってしまった。ヤバい。大林宣彦の過去への
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卍(まんじ)(2023年製作の映画)

4.5

井土監督が増村保造に挑戦して万田監督のようなエッセンスが出現した怪作。面白かったけど、どう楽しめばいいのか分からなかった。

福田村事件(2023年製作の映画)

-

 この映画を作った人達は自分たちが差別する側にまわるなんて考えもしないんだろうと思った。
 映画の中で差別する側、暴力をふるう側として描かれる人々はどれも無教養で醜くて汚い。自分たちはそういう人間では
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遠いところ(2022年製作の映画)

5.0

 沖縄を舞台に描かれる17歳のシングルマザーのキャバ嬢。
 周りの人間が主人公に求めるものが当たり前のことばかりで、それを尽く手に入れられない主人公が余りにも不憫で見ていて吐きそうなくらい辛かった。行
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

5.0

 今年最後の映画に最も相応しい。感謝祭真っ最中の街を舞台に描かれるスプラッター青春群像劇。最高!
 イーライ・ロスの凄いところは細かい描写の積み重ねにあると思う。例えば、冒頭のスーパーマーケットの暴動
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99%、いつも曇り(2023年製作の映画)

5.0

面白く見ました。
 こういう話で一番連想するのは「レイチェルの結婚」なんだけど、この映画のサンゴさんはめちゃくちゃ元気。やたら暴れるし、勝手に話を進めて勝手に落ち込むし。落ち込み方も度を過ぎていて見て
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AMON デビルマン黙示録(2000年製作の映画)

5.0

原作とは違うオリジナル展開。冒頭の牧村家の虐殺シーンから明らかに本気度が違う。視聴者のことなんて考えてない、原液100%のデビルマン。デビルマンですらないかも。
子供は死ぬわ、レイプはするわ、仲間割れ
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デビルマン 妖鳥シレーヌ編(1990年製作の映画)

5.0

 シレーヌってなんでこんなに人気なんだろう。デビルマンのシレーヌファンはマジで老害しかいない印象。
 永井豪先生の魂がこもってるのはゲルマーだろ。水で人間を操って不動明を殺そうとしてくるアイツ。永井豪
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デビルマン 誕生編(1987年製作の映画)

5.0

デビルマンをオーソドックスにアニメ化するとこんな感じ。サバトがめちゃくちゃ良いんですわ。湯浅さんの作品も好きだけどやっぱり手堅いアニメ化が一番好きだな。永井豪先生の濃い線を意識したキャラクターの描き方>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.3

見返すとあんまり鬱って感じでもない。最後はしっかりと世界を守るし、ちゃんと主人公らしいこともしてる。全然「デビルマン」や「なるたる」の方が世紀末してるし、こんなもんじゃないよ。
 結局シンジくんが主人
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ほかげ(2023年製作の映画)

5.0

 決して潤沢とはいえない予算の中で、豊富とは言えない機材の中で、最大限の工夫と突飛なアイデアとどこまでも飽くなき情熱によって、限界を超えた面白さを提供しようとする塚本晋也監督に心の底から感銘を受けまし>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.5

合戦シーンがとても面白かった。人が取り敢えずいっぱい動いていて何か凄い事が起きている、みたいな無造作な撮り方ではなく、非常にロジカルにナポレオンの戦略の利点と欠点を描写していて素晴らしい。リドリー・ス>>続きを読む

春画先生(2023年製作の映画)

-

 苦手な話だった。なんでこの先生こんなに甘やかされてるんだろう。偉いから?最初に喘ぎ声を電話越しに聞かせるの普通に盗聴で犯罪だし、俺が女性の立場だったら最悪の気分だと思う。喫茶店で泣きつかれようが怖く>>続きを読む

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

4.4

最後サタデーフィクションという舞台の中に現実の殺し合いが乱入し、何もかも破壊してしまうのが本当に切なくて日本軍ふざけんなと思った。
明かりが明滅するリズムに合わせて、行われる銃撃戦やオダギリジョーの妻
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

5.0

 承認欲求拗らせボディホラー。素晴らしかった。
 主人公は無邪気といえるほど純粋に承認欲求を拗らせていく。人の気を引くためならアレルギーと嘘をつくし、血まみれのシャツで街を歩く。しかし、そこには芸術家
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ふたりの人魚(2000年製作の映画)

5.0

povという撮影方法の限界を突破し、人間が物語を想像するという現象をアクションに落とし込んだ。物語と現実が溶け合う中盤のある会話シーンに前代未聞のショックを受けた。ロウ・イエ半端ない。

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