イロカワさんの映画レビュー・感想・評価

イロカワ

イロカワ

清作の妻(1965年製作の映画)

5.0

信じられない速度で信じられない量の「聞いたか坊主」がぶち込まれていて情報量がパンパン。こんな事していいのか。
しっかりと清作に起こる事件を引いた距離で描いていてよかった。犯人の表情に狂気が滲んでいて、
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ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(1999年製作の映画)

5.0

原題は「選挙」生徒会長選挙を巡る群像劇。
主人公が先生のくせにすごく個人的な理由で生徒のことを嫌っていてとても人間臭い。欠陥を抱えた登場人物たちがそれを克服できず、なるようにしかならない姿がとてもおか
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ダウンサイズ(2017年製作の映画)

5.0

「アメリカ人のファックは8種類。愛、憎悪、体だけファック、お別れ、仲直り、酒の勢い、友達、同情ファック。あんたがしたのはどのファック?」
「いや、それにはその、様々な感情があって…」
この台詞の場面め
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UNloved(2002年製作の映画)

5.0

ハードボイルド光子。最高。
木造二階建てのアパートへの思い入れが強いから光子に完全同意です。
人と比べない生き方はとても孤独なものだと思う。お前もこっちに来いと男達に求める光子はほとんどホラーになって
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蛇の道(1998年製作の映画)

5.0

黒沢清がリメイクしたい理由ってコメットさんにあるのか。女だてらに仕込み杖だけで銃撃戦に飛び込み、哀川翔や香川照之を斬りつける。変な人。
謎コメットさん、謎数式、謎学習塾、謎の組織、蜘蛛の瞳ほどじゃない
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蛇の道(2024年製作の映画)

5.0

面白かった。
話の骨格がやっぱり面白いっていうのと、柴咲コウが最高っていうのが大きい。
柴咲コウが医者なのに全然治療してくれなくて辛い。話してたら死んじゃいそう。
「終わることの何が嫌なんですか。終わ
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ローリング・サンダー(1977年製作の映画)

5.0

片手がフックなのが凄くいい。フックってかっこいいけど日常生活で絶対に使い道が無い。つまり彼の体には、カチコミをかけるしか使い道がない部位がある。それはつまり、彼自身を端的に表現したもの。論理的に考えて>>続きを読む

ザ・ヤクザ(1974年製作の映画)

4.0

ニューシネマの悲哀感たっぷりのヤクザ映画。なんていうかポール・シュレイダーの狂気が減退していた。みんなしっかりし過ぎてる。まともな神経で死地に赴く事は出来ないけど、仁義みたいなもので片付けられても納得>>続きを読む

悪の法則 特別編集版(2013年製作の映画)

5.0

最初のペネロペとのベッドシーンが長くなった。ブラピの首が道端に転がる。

ハンニバル(2001年製作の映画)

5.0

椅子に座らされて脳みそ食われたり、もう何が何やら。
これが人間とは信じられない、ではなくてこんなことをするのが人間なのだという確かな確信を持った作品。残虐に人を殺す事は非人間的だけど、レクターはそれが
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I love ペッカー(1998年製作の映画)

5.0

ジョン・ウォーターズの自伝的作品。エドワード・ファーロングがジョン・ウォーターズになってて凄い。
カメラで撮られるという行為を暴力だと断罪するのは100年前から分かりきった事実だし、それを指摘するだけ
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拳銃魔(1949年製作の映画)

5.0


「昔は正直者だった。」「私のせい?」「いや、あらゆることが目まぐるしく変わって疲れただけだよ」「変わらないのは私だけよ」「ああ、君だけは現実だ。」
最短速度でこの二人の共依存関係を表し、そして結末ま
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夜を越える旅(2021年製作の映画)

3.8

森見登美彦の「夜行」みたいなエモいホラーを堪能しようと思ってみたけど、全然エモいホラーになってない。
エモい部分とホラーの部分がすっぱり別れてる。繋がってない。違う映画を二本見たのと同じ。混ざってほし
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.3

善は急げ、そこに悪は存在しない。
グランピングをする側の欲望はもっと追求するべき。ただ批判されるだけのサンドバッグに成り下るべきではない。「お金がほしい。あんた達もそうだろ?」というセリフから更に田舎
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ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ(2023年製作の映画)

5.0

あまりにも優しすぎる。泣いたり、笑ったり、座席で悶絶しながら鑑賞した。
皺に刻まれた人生の重さをしっかりと感じる。最初から最後までずっと奇跡しか起きてない。現実に生きている人の姿がこんなに深い感動をも
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ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

5.0

マーティン・シーンが部屋で鏡を割るシーンのメイキングがただの放送事故だった。
マーティン・シーンが見てはいけない人間の姿をしていて今年見た映像の中で一番ショッキングだった。酩酊している状態でカメラのレ
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ラブレス(1981年製作の映画)

5.0

 めちゃくちゃ面白かった。
 バイクが故障して何もない田舎町に滞在することになったバイク乗り集団。黒いレザースーツで身を包んだ彼らは緑ばかりの街に全然馴染めない。何もないからやることと言えば銃を乱射し
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ケンとカズ(2015年製作の映画)

5.0

偏愛する映画。2016年っていうのは「クズとブスとゲス」と「孤高の遠吠」とこの作品が立て続けに出現して和製ノワールがめちゃくちゃ活気づいていた。これからは毎年こんな映画が見られるのかと高校生の自分は期>>続きを読む

13時間 ベンガジの秘密の兵士(2016年製作の映画)

4.8

後半の戦闘パート。深夜の戦闘で隠密行動が必須なので光源が少ない。画面の輝度をあげることで「コラテラル」みたいな感じで全体は見えるようになった。
しかし、火薬量が過剰なので爆発や銃弾が飛び交えば画面がキ
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ良いですよね。
いわゆるヤクネタと呼ばれる社会でも極道の世界でも邪魔者になる存在の主人公。信条も仁義も計画もない。行き当たりばったりに人を傷つけ、殺し、何もかもめちゃくちゃにする。
台風み
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.5

セカイ系ゴジラ。ヤマト魂で何でも解決できると思ったら大間違いだぞこの野郎。戦争の時の記憶に蝕まれている狂った兵士ってランボーみたいに絶対面白くなるはずなのになんでこんなに好きになれないのか。
多分狂い
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ハードコアの夜(1979年製作の映画)

5.0

「おお神よ!あれは俺の娘じゃねえか!」
のセリフが有名な大傑作。娘が失踪して、ポルノ映画に出演してしまい苦悩する映画。主人公が映画始まってからずっとイライラしていて不安そうで、近づきたくない空気を垂れ
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キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

4.5

全然努力してないくせに才能があると思い込んでいる人間ほどみっともないやつもいない。怖いも滑稽も通り越して哀しさすら感じる。写真と対話する演出が非常に興味深い。

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

5.0

暗黒版サムシング・ワイルドでめちゃめちゃ面白い。ファム・ファタールの役割の人があんなふうになっちゃうの珍しいと思った。
この頃のスコセッシには何が何でも日常に回帰する執念がある。キャラクターの信条や物
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ハスラー2(1986年製作の映画)

5.0

落ち込んだ時こそスコセッシ。
「俺たちの戦いはこれからだ!」を描いた映画で一番熱い。変な髪型のトム・クルーズから目が離せない。

カンニバル!THE MUSICAL(1993年製作の映画)

4.5

 めちゃくちゃ陽気なコメディで良かった。日本語を話す日本人のインディアンが登場してから一気にサウスパークの磁場が強くなった。
 こういったナンセンスなコメディは観客が理解できてしまう意味づけがされた時
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コックファイター(1974年製作の映画)

5.0

夢を持った奴って本当に面白いな。ニワトリが何匹死のうが知るか!俺は人生をこれにかけた!と引きちぎったニワトリの頭を女に差し出す主人公が最高すぎる。
しっかりとニワトリ同士の戦いを残酷に暴力的に撮りつつ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

 原爆実験って本当に面白くない。別に未知への探究心が根底にあるわけでもなく、たくさんのプルトニウムを集めれば絶対に出来ると分かっているものを金をかけて作っただけ。その為に必要な人員も期間も場所もおおよ>>続きを読む

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

5.0

最高だ!今年ベスト。
 深夜のガソリンスタンドで何者かに狙撃される主人公。傍らのトランシーバーからは狙撃者の男が語りかけてくる。
 トランシーバーを通した主人公と狙撃者の会話が面白い。殺す側と殺される
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カラーパープル(2023年製作の映画)

4.8

最高だった。スピルバーグよりも全然面白い。というかこっちの作品の方がスピルバーグっぽい。
 この映画で一番凄いなと思ったのは、後半にある地獄みたいな空気で食事するシーン。会話のテンションの持ちあげ方が
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カラーパープル(1985年製作の映画)

4.0

陰惨な暴力を上手く演出しすぎて、希望を抱く物語のはずなのにネガティブな印象しか残らない。
断言する。このときのスピルバーグは病んでた。

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)

5.0

あちらからやって来た人とここに居る人が出会い、変化し、別れ、また出会う。映画っていうのはそれだけでいいはずなんだ。そんな当たり前の事に気づく映画。映画は関係性の変化を描くものだ。なら映画は必然と関係が>>続きを読む

夜を走る(2021年製作の映画)

5.0

ここ10年の日本映画がまとめてかかってきたとしても、この一本だけで圧勝できる。
 地方都市、廃鉄工場、死体、宗教、足立智充。日常会話を演出しながら、全く違う地平を見ている監督が作った恐ろしく野心的な作
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