歩く肉

シド・バレット 独りぼっちの狂気の歩く肉のレビュー・感想・評価

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自分はあくまで、シドバレット以降のピンクフロイドが好きであって、『夜明けの口笛吹き』も個人的にそんなに…って感じだったけど、今年の三月に行ったSlowdiveの来日公演でアンコールでGolden Hairが演奏されていて、それがシドバレットへのトリビュートになっていて、なんだかものすごく心揺さぶられてしまった。それに前後して日本上映が決まったから、勝手に運命的なものを感じてしまい、観てみた。
この映画はまるで知人友人がシドバレットに宛てた手紙のようだった。結局空白の部分は空白のままだし、誰もシドを本当のところはよく知らないままだ。一番近くで最後まで世話していた実の妹が一番ドライな態度で、なんだかそれが全て物語っているように感じた。デヴィッド・ギルモアが一度でもシドを訪ねてお茶しながら語らい合えればよかったと言っていたけれど、なんだかなあ…
改めて考えると、ピンクフロイドって本当に興味深いバンドだなって思う。シドバレット期、ロジャーウォーターズ期、デヴィッドギルモア期で雰囲気がそれぞれで違っているけれど、少しの間しかいなかったシドの存在がずっとバンドに漂っている感じがしてならない。そういうところがよりこのバンドを特別にしているように思う。
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