歩く肉

ドッグマンの歩く肉のレビュー・感想・評価

ドッグマン(2018年製作の映画)
4.3
狂犬VS「忠犬」
シリアスな不条理ドラマかと思いきや、もっと普遍的なテーマを抽象的に描いていた。犬は主従関係にとても敏感な生き物で、主だとみなした人間に対しては絶対的な忠誠を誓うが、飼い始め時にパワーバランスをしっかりと叩き込まないと手がつけられないくらい凶暴になると聞いたことがある。人間も文明に飼い慣らされているが、内側には手なづけられない本能的な暴力性があって、相手より優位に立ちたい願望を秘めている。

娘とのエピソードにはあまり必要性を感じないというコメントを見かけるけど、個人的にそこがむしろこの映画を引き締めていると思う。静と動のバランスをつけているし、人間の二面性を体現していてなんとも切ない。

どこか甘い生活を彷彿とさせるラストもとても好みでした。
歩く肉

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