子供の頃に親から塾だの習い事だのと教育にがんじがらめにされた経験を持つ私のような人間とっては共感しやすい映画だった。そのついでに韓国と日本の社会事情の類似性も学べたように思う。

親の期待から逃げたくなったり、学校で孤立しながらも自分の中の広い楽園に心の拠り所を求める少女の姿には自分の過去を重ねてしまい、うっかり泣きたくなったりもした。

しかしマッコリがモールス信号を使って少女のドンチュンに話しかけ、それがアラビア語→韓国語へと変換される事でマッコリと少女との交流が成立するという奇想天外な発想はあまりにも個性的でインパクト大だった。全体的にはコメディタッチだが、叔父との交流などしんみりする演出も多々あるのも味わい深い。
これを観た人は皆自分でも自宅でマッコリを作ってみたくなるに違いない。

ただあの叔父である男性とドンチュンとの邂逅や、彼とドンチュンの母親との姉弟関係についての説明や見せ方が少なすぎたように思えてしまったのが残念だった。

コンビニの前でドンチュンと叔父が座って会話するシーンは、すごく普通なのにとても優しく、自分にとっては異国であるはずなのだがそこに流れる湿度と空気が妙に近く感じられてしまい、ずっと見ていたいようなワンシーンだった。