【第74回ベルリン映画祭　パノラマ部門出品】
『失くした体』ジェレミー・クレパン監督の新作。ベルリン映画祭パノラマ部門に出品、シッチェス映画祭コンペにも出品されたSF映画。

アニメーションも用いて死んだ兄フランクの影を追う妹エルサを描いた作品。シッチェス映画祭にも選ばれたということでSFチックな演出で「兄の不在」を描いている。

エルサは懸命に兄にどうにか会おうとするが、それは周りを犠牲にすることでもあった…エルサの悲痛な叫びが聞こえてくるよう。

物語自体はシンプルながら心に響くものはあるが、少し間延びした展開が目立つ。同じことの繰り返しとも言えるので中盤飽きてくるのは確か。

しかしエルサを演じた俳優さんの演技が素晴らしく、兄を追い求める妹をリアルに演じていた。

森や草原といった自然を用いて超現実的な世界観を造り出した監督は流石『失くした体』の監督。エルサの体に入る異物の描写もちょっとグロくて楽しいあたり。

もう少しコンパクトにまとめることはできたのではないかと思うが、これはこれで小さな佳作といった感じで楽しめる。兄妹の絆を確かめ合うような終わり方もよかった。

• #第74回ベルリン国際映画祭
• #シッチェス映画祭2024

@74 Berlinale