カッパロー

フォロウィング 25周年/HDレストア版のカッパローのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

巻き込まれた男、掌で踊る。

クリストファーノーランの処女作。低予算を感じさせない面白さだった。白黒の映像が細部の荒さを隠し、かつ犯罪の匂い(フィルムノワール風味)を漂わせ独特の味わいを産んでいた。

手法はわかりやすい。時系列シャッフルで観客の関心を雑に引きつつ、物語自体はどんでん返しで占める。ノーランらしい練り上げられたプロットは、幕が降りた後の観客の脳内に困惑と納得の混ざった解放感を残して役割を終える。

個人的には、時系列シャッフルは正直やりすぎていたし、コッブの立ち回りも合理性を欠くほどうまくいきすぎていたように思い、後の作品と比べるとどうしても粗さを感じてしまった。とはいえ、謎めいた雰囲気を保つイカした登場人物、クレジットカードや下着など小物を鍵に繋がる綿密なシナリオ、くくりつけた札束など視覚的な面白さ(『気狂いピエロ』のラストシーンを思い出した)など、才能の煌めきも随所に感じられた。ストーリーを忘れた頃に見直したいね。

ちなみにノーラン信者ワイは序盤の「物は失ってはじめてその価値に気づく」のセリフが主題だと思って観てました(『プレステージ』の小鳥マジックのイメージ)。一応、主人公が捕まって元あった自由を失ったと考えればそれが主題と言えなくもないですけど、多分間違えました。悔しい。
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