とぽとぽ

フォロウィング 25周年/HDレストア版のとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
"他人に興味がある"

失って初めて本当の価値に気付く…斬新な角度・切り口から簡潔かつ効果的に綴られ、気の利いたオチのついたダークなスリラーでノワール。時に何が起こっているのか解らなく(ついていけなく)なるような、時間軸を解体した入り組んだ語り口はそのままに、時間を扱ってきた天才ノーランの原点ここにあり!本作以降の様々なノーラン作品が頭をよぎる瞬間があった。
この頃から変わらない、揺るがない作家主義には、主人公同様興味をそそられるものがある。これはなかなか秀逸で、コーエン兄弟で言えば『ブラッド・シンプル』、ダニー・ボイルで言えば『シャロウ・グレイブ』といったところだろうか。今みたいに大きな予算じゃないからこそシンプルに核心を突くようなダイヤの原石感ある。ファム・ファタール的ブロンド美女役ルーシー・ラッセルは、モノクロ撮影も相俟って、往年のスターのような雰囲気があった。小説っぽい。
誰でも箱を持っている…現代らしく余計な詮索したり、他人の生活には無闇に立ち入らない方がいい、ってことですかね(多分違う)。けど、本当に何考えているかなんて解らないから、下手こくとイタい目見るよ(他人事じゃない)。個人的には、穿ったものの見方をしてしまうことも手伝って、"趣味 : 人間観察"なんて言う人のことあまり信用できないのだが。

Everybody has a box.
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