美しい少女たちの失踪とともに、完璧な世界に亀裂が走る。コルセットのように西洋的な文化で締めつけても、オーストラリアの自然は野生で対抗し、彼らの大事なものを奪い去っていく。
靴を脱いだ少女たちは素足でどこに行ったのか。抑圧からの解放、逸脱、叛逆、官能、自由の気配。危険で耽美的な物語の向こう側に、今の私たちは何を読み取るだろうか———山崎まどか(コラムニスト)
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はなやかな少女たちの足に蝿がたかり、すぐ横を爬虫類が這う。この世界に生きる少女たちの避けがたき施弱性、呪いのように纏わされた神秘性が、耽美的な映像の地層に隠されている———児玉美月(映画文筆家)
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美しさは加速する。永久に。その永久に跡形はなく、私は彼女たちの残像の前で立ち尽くすしかない———長井短(演劇モデル)
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少女たちに、いったい何が起きたのか。その詳細は一切描かれない。言い知れぬ恐怖と、現在まで残された謎についての物語———ナイトウミノワ(映画ライター/アクセサリー作家)
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ある時期の少女にとって、愚かさと美しさは同義である。
自ら罠に掛かる幼い自我こそ存在の証であり、消えてしまいたいという白昼夢の衝動に実体など無いのである———東佳苗(rurumu:デザイナー)
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ヴィクトリア朝の少女たちは、大正乙女に通じる感受性を持つ。
陶酔し、感傷に侵されている。その感覚のすべてを閉じ込めた、 稀有なる名作———山内マリコ(小説家)
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夢の中の夢。見ている者が意識を失い淡々と夢を見続けるような時間。花々しい少女たちを誘ったあの隙間の先に何があるのだろう———小谷実由(モデル)
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幻惑的な光景と歩調はまるで白昼夢のようで。不穏に屹立する岩山は少女と同時に、目撃者たる我々も迷宮の中に呑み込んでしまう———ISO (ライター)
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ほんとうに魔法みたいな映画。すべてのファッション映画とすべ てのニ ュー ヨーク大学生の卒業論文は、この詩的な傑作の影響下にある。私も大学のとき、「ランチタイム at ぶらぶら巨岩」ってふざけたリメイクを作ろうとしたけど、俳優がみんな寝坊してできなかった———レナ・ダナム (映画監督)
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高校を出たばかりのリタ・アッカーマンが、私をビキニ・キルのライブ に連れていき、そして『ピクニック at ハンギング・ロック』を観にMoMAまで連れていってくれた。私にとって本当に大事な映画———クロエ・セヴィニー (俳優)
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