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Savageland(原題)の消費者のレビュー・感想・評価

Savageland(原題)(2015年製作の映画)
2.9
・ジャンル
モキュメンタリーホラー/ファウンドフッテージ/スリラー/社会派/サスペンス

・あらすじ
2011年6月2日の朝、アリゾナ州南部に位置するメキシコとの国境に接した田舎町サングレ・デ・クリストで発覚した大規模な無差別殺人事件
それは一夜にして57人もの犠牲者を生んだ稀に見る陰惨な物だった
間も無くゴーストタウンと化した町で容疑者として1人の男が逮捕される
彼の名はフランシスコ・サラザール、7年間この地で暮らしていたメキシコ人である
発見時、血まみれの姿であった事もあり彼はすぐさま検挙
不法移民であった事も手伝い、保安官や特に白人の市民達からは苛烈な非難に曝された
その末にフランシスコには死刑が宣告されてしまう
しかしカメラを趣味とする彼が事件当夜に撮影した無数の写真や唯一残された供述のテープが示す真実は異なっていた
裁判で証拠として使われる事なく終わってしまった数多の記録
そこに映されていたのは人智を超えたおぞましい地獄の光景だった…

・感想
POV/モキュメンタリー/ファウンドフッテージ月間をしていた時に登録申請をしていた作品
惨劇の一夜を生き抜いた不法移民の男性が町に根深く残る差別によって犯人とされた事件を検証するという設定のホラー/スリラー作品
ちょっと寝かせてたけど無事レビューの一番乗りが出来て一安心…w

ゾンビと人種差別による冤罪という題材の珍しさは興味深いし低予算にしては殺戮の最中を映した写真の出来も悪くなかった
だからこそ勿体ない部分が目立ったかなぁ、というのが率直な感想
モキュメンタリーにおいて事件の再検証というのは珍しい物ではない
だからこそ真相を示唆するまでどう見せていくかが肝
しかし本作では早い段階でそれが明確に提示されてしまうので順を追った矛盾点の指摘がただただ退屈な物になってしまっていた
これなら普通に劇映画にしていた方がまだ良かった気もする
モキュメンタリーとしての出来は悪くないから構成さえもっとマシだったらまだ違ったと思うんだけど…

かつてはKKKが多くいた国境沿いの町という舞台や容疑者フランシスコと心中したパットナム家のカトリック信仰など上手く絡めればもっと面白く出来たであろう要素も散見されただけに余計惜しく感じた

またどうせなら町の分断なども展開としてあった方がより濃密な内容になっていたんじゃないか、とか過激化した白人住民の暴走をもっと見せて欲しかった、とか物足りなかった部分も少なくない
あとはゾンビの根源もKKKに絡めて良かったんじゃないか?というのもある

モキュメンタリーやファウンドフッテージは製作の障壁こそ少ないけどその手法を映画としての面白さに活かす事はむしろ劇映画よりも難しい
その事実を改めて感じさせられた
やっぱりワンアイデアで簡単に突っ走れるジャンルではないよね…
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