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クラウンの消費者のレビュー・感想・評価

クラウン(2014年製作の映画)
3.7
・ジャンル
ボディホラー/スラッシャー/ドラマ/クラウン

・あらすじ
不動産業者に勤めるケントは妻を愛し子煩悩などこにでもいる良き一家の父だった
息子ジャックの誕生日、道化が手違いでパーティーに来ないと知らされた彼は担当物件の地下室で衣装を発見
自ら道化に扮しパーティーを盛り上げる
しかしこれこそが悲劇の始まりだった
脱げない衣装、取れないメイク
唯一取れた赤鼻も皮膚ごと削げてしまう
やがて彼は衣装の正体を知る男と接触
告げられたのはそれが子供を喰らう魔物の髪と皮膚であるという信じ難い話
だが実際言われた様にケントの心身は衣装に蝕まれていき…

・感想
息子を祝うべく物件に残された衣装に身を包み道化となった不動産業者の男が脱げなくなり変異していく、という一風変わったクラウンホラー作品
元は映画学校の仲間達が冗談で作ったフェイク予告映像だったがそれを見たイーライ・ロスのオファーで実際に製作
プロデューサーの1人である彼はカメオ出演もしている

北欧に伝わる子供喰らいの魔物である道化のルーツとなった怪物
衣装の様に見えるその皮膚と髪を身に付けたら最後、心身が蝕まれ自らが魔物と化していく
この設定はホラーの王道である封じられた物に知らぬまま手を出してしまい…という流れなので目新しい訳ではない
しかし本作ではかなりギリギリまで蝕まれる張本人ケントが自身の意識を保ち呑まれまいと耐えて戦っている
そんな彼を元に戻そうと奮闘する妻メグ
自分の責任ではと考える息子ジャック
この2人の家族の存在も話の大きな軸となっており、オカルトホラーやスラッシャーにボディホラーの要素が絡み合っていく点が珍しく面白かった
構造としては「死霊のはらわた」リメイク版やシリアスなゾンビ映画全般に近い感じ

特に印象的だったのがクライマックスにおける妻メグの出来心や葛藤と決意
実体が愛する夫で息子の父であるという事実の重みを上手く胸糞な恐怖へと繋いでいたと思う
また本作で珍しいのが子供が次々に犠牲となっていく点なのだけれどこれも前述の葛藤の元凶となっていて良い
欲を言えば子供が餌食となるシーンもしっかり描いて欲しかったけれど演じる子役達の事を考えると難しいのかな…

惜しかったのは殺人において道化らしい手法というのが全く見られずただの怪物でしかなくなっていた点
ただでさえキル数があまり多くないのでそこは凝って欲しかったかなぁ…
変異が始まったばかりはともかくせめて後半だけでもそうなっていたら…とどうしても考えてしまう

そういった引っ掛かる点もあったけど基本的には無難に楽しめて捻りもある良作だった
終盤にはしっかりとしたゴア描写も拝めるし尺も長くないのでクラウン系ホラーやスラッシャーが好きなら楽しめるかと
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