このレビューはネタバレを含みます
隠の里とかいうル=グインが描いた最小不幸により最大幸福が成立する「オメラス」そのまんまなディストピア鬼の里。
滅私奉仕で里の平和を支え続けている生贄のおかげで偽りの平和を享受している連中が生贄に対する感謝を忘れ蔑ろにしたがために「うっわ、アホくさ」と嫌気が差した結果オメラスの囚人(ツムギの母)による逆襲が巻き起こった。オメラスとの違いは生贄に力がある点。
性善説一点突破じゃないか、そりゃそうなるわ。
主要な登場人物が尽くコミュ障ばかりでまともに話し合いで解決する気がなく、する必要のない冒険や危険な橋を渡る羽目になっているのが滑稽極まりない。
まぁ、W主演の子供二人は常識のなさ含め、精神的に未熟だからという理由で説明はつくが隠の里の連中は角に栄養取られて脳みそスカスカなのか?と思いきゃ御前様からの衝撃の告白、そもそも鬼は生粋のコミュ障で里はコミュ障の集まりだったのだ!
だからといって数々の愚行が許されるわけもない、まず部外者の子供に頼るな、希望的観測で動くな、リスクマネジメントを怠るな、計画を立てろ、一旦落ち着け、相談しろ、コンセンサスを得てから行動しろ。
自分の主張や意見を大事にするのは分かったから、相手の意見にも耳を傾けろ、とにかく一旦落ち着け。
前半の柊くんの「はじめての家出」THE MOVIEに対するイライラは道中のハートフルストーリーで多少緩和され、ずとまよの挿入歌でなんかエモい感じにお茶を濁してくれたので乗り越えられたが隠の里へ入ってからが酷い酷すぎる。
ツムギママがふわっと和解したかと思いきゃ、御前様は「流石にアプデしなきゃかな😏」的なおいおいおいおいお前が言うな!と総ツッコミされるような台詞でフェードアウトそれでいいのか?
ラストになってようやく父親とも会話できるようになった柊くん(因みに柊くんの父上は思春期の図星をついちゃうだけで普通の良い親です)と遊びにきてくれないから押しかけ女房しにきちゃったツムギちゃんのボーイ・ミーツ・ガールで終わるわけですが…あの、ここまで言っておいてなんですが初見は絶対劇場で見たほうがいいです、ガチで。
散々酷評寄りのバレばっかしやがって何いってんだこいつと思われるでしょうが帰宅後にネトフリで再視聴した所ネトフリでの視聴のみだと70点のポテンシャルのアニメが50点ギリギリ出したくらいでしかないのでこればっかりは劇場に足を運ばないとなりません。
いや、ずとまよの主題歌めっちゃ良いんですけどね漂流団地で味を占めましたね?いいぞもっとやれ。
映像に関してはほんと文句ないです、人物の柔らかなタッチと繊細さ画面から雪の冷たさや炎の温もりが伝わるような表現も脱帽ですし劇伴も素敵です。
特典に関しては他の方が仰るように別に事前開封しても問題ないです、特典の第二弾のために懲りずに6月入ったらまた行きます。
この映画を見て損だとは思いませんしペンギン・ハイウェイの貯金はまだ残ってるのでスタジオコロリドへの期待はまだまだ維持できそうですが、このスタジオは原作が付いてたほうが相性いい気がしますね。
サブカルアニメオタクの大半が公開日どっかぶりデデデデ後編に群がる中で先にこっちから観るような人は生粋の天邪鬼です。胸を張ってください、類友ですね。
とりあえず公開日に見れて良かったですね。
これは、嘘じゃない。