Masato

グレイテスト・ヒッツのMasatoのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ヒッツ(2024年製作の映画)
3.1

その曲を聴くと、初めてその曲を亡き恋人と聴いたその時にタイムスリップしてしまうロマンス。B&Wのヘッドホン買いたくなるロマンス。

音楽は初めて聴いたその時の記憶や感情が蘇ってくるという誰しもが体験することをファンタジーとして飛躍させた設定は面白いが、テーマは過去の呪縛となってしまった亡き恋人への想いから解放され前に進めるかを平凡に描いてしまっていて陳腐。設定が独自に活かされることもなく、往年のタイムスリップやロマンスの焼き直しでしかないのが残念だった。生まれてきてはすぐに埋もれる日本の恋愛映画みたいな映画。邦画と違うのはオシャレなところくらい。

設定は最高に良い。自分も中学生時代に聴いた曲とかを聴くとその時の情景が頭に蘇ってきて涙がこぼれる。歌っていうのはその時そのままをまるごとパッケージしておける最高のコンテンツでもあるということ。でも本作は使われている曲に時代の一貫性がない。それはキャラたちがレコード収集してる音楽家だからってのはあるけど、仮に本作が現在の時点だとしたら、コロナ禍かその前くらいのヒットソングとかがバンバン流れてほしい。要するに、曲がキャラたちの思い出ソングだけに留まってしまっているのが残念。

また物語もかなり陳腐。陳腐なのは良いけどその分ファンタジー設定で補わなきゃいけないと思うのに、設定を活かした展開が地味で面白味を感じない。元カレ忘れられない今彼への罪悪感みたいな、文字通りふたりの男性を愛してしまっていて双方にとって裏切りになってしまう気持ちを強調させるくらいで勿体ない。

ラストの展開も個人的には微妙。解決策はそこじゃなく、自分の心のありようではないのか?と思うし、設定的にも自分の行動以外は変わらないのなら、恋人は結局あそこで死ぬ運命なんじゃない?と思う。

この手の設定への愛ゆえに言いたいこと多くてすごいボロクソになってしまってすみません。

ルーシー・ボーイントンや今結構注目のアジア系俳優ジャスティンミンの共演は最高だった。次期スーパーマンのコレンスウェットは思ったよりもスーパーマン顔で安心した。
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