HiromiA

最後の乗客のHiromiAのレビュー・感想・評価

最後の乗客(2024年製作の映画)
3.5
震災で亡くなった人たちの思いというのは推し量る以外ない。残された人たちの思いが人それぞれであるように、みないろいろだったのだろう。肉親などを助けに戻って津波に巻き込まれ亡くなった人がたくさんいたため、生き残った側からするとまず自分の身の安全を確保するというのが教訓になったのだが、その場にいた時、見たこともきいたこともない大津波警報が発令されているからと言ってはたして大地震後に困っている肉親なんかを置いて自分だけ逃げることって出来たんだろうか。もちろん自分が死んだら誰かの迷惑になるという人もいるだろうし、パニックになって周りが見えなくなる人もいる。みなそれぞれで構わない。ただ助けに戻っては本当にいけないのだろうか。そんなことを思ってしまった。写される風景は夜なんだけど荒井駅だったり荒浜沿いだったり見知った景色がほっとするが、こんなに寂しかったかなあ、そういえば今じゃ夜にあの辺は行かないよなあなんて思った。震災から10年、前を向いて歩きだそうよということなのかもしれないけど、前を向いて進むことと過去を忘れることはセットではない気がした。
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