一人旅

ザ・ペーパーの一人旅のレビュー・感想・評価

ザ・ペーパー(1994年製作の映画)
4.0
ロン・ハワード監督作。

ニューヨークの地方新聞社に務める記者たちの慌ただしい一日を追ったドラマ。
躍動感溢れる演出が特徴で、狭い新聞社内を記者や編集者、カメラマンが縦横無尽に駆けずり回る。締め切りまでのタイムリミットが迫る中、一面を飾るネタのウラを取るためチーム総動員でニューヨークの町へ飛び出していくのだ。そして、マスコミの在り方を記者の信念を通じて提示している。真実を苦労して収集し世間に伝えるか、あるいは世間が記事を鵜呑みにしてしまうリスクを承知の上で、真実と嘘の妥協点を記事にすることに甘んじてしまうのか。マスコミの使命と責任が、一人の熱意溢れる記者の型破りな行動によって再確認されていくのだ。本作は基本的には“仕事映画”だが、仕事と家庭の両立に苦心する記者の姿や、記事の犠牲者となった人間と新聞社内における同僚間の険悪な関係が巻き起こすちょっとした事件も描かれていて見どころは多い。
主演のマイケル・キートンが見せる大袈裟な演技が痛快だ。上司にも臆することなく果敢に噛みついていくし、仕事に対する情熱と責任感には見習うべきところがある。また、脇を固めるグレン・クローズとロバート・デュヴァルの安定感と哀愁に満ちた演技にも注目だ。
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