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ドローン・オブ・ウォーの一人旅のレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
4.0
アンドリュー・ニコル監督作。

『ロード・オブ・ウォー』(2005)のアンドリュー・ニコルが演出し、名優イーサン・ホークが主演を務めた異色の戦争ドラマで、無人攻撃機の操縦士である空軍少佐の苦悩を描きます。

ラスベガス郊外のアメリカ空軍基地に置かれたコンテナの中で、無人攻撃機(ドローン)を遠隔操縦しアフガニスタンの武装勢力を排除する任務に当たっているイーガン少佐を主人公にして、上からの命令に従い、テロとは無関係の一般市民をも巻き添えにして標的を殺害することに疑念を抱き始めた主人公の葛藤と苦悩を、郊外の一軒家で共に暮らす妻子との関わりを軸に描き出した作品です。

戦闘機に乗って現地の上空を飛行することなく、戦場から遠く離れた自国の絶対的に安全な場所から異国の武装勢力を排除する主人公の日常を描いて、無人攻撃機による爆撃が主体となった現代戦争の冷淡な実態を浮き彫りにしています。そして、遠隔による爆撃行為が、“人を殺している感覚”を鈍らせ、また自らは安全であるがゆえに一方的な虐殺者となってしまう事実も提示して、良心的な操縦士の心理的な疲弊リスクにもしっかりと目を向けた気鋭の戦争ドラマとなっています。

主演のイーサン・ホークが基地と自宅の往復で心を虚ろにしていく主人公を始終陰鬱に演じ切っていますし、主人公とは対照的に任務だと割り切って命令を下す上官をブルース・グリーンウッドが好演しています。
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