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エストニアの聖なるカンフーマスターのvanのレビュー・感想・評価

4.0
冒頭から最高でした!

中空からふわふわ降りてくる、謎の三人の男性。
キメを作っての着地。
肩に乗せたラジカセをON。
流れるメタルミュージック!
繰り広げられる、アクロバティックな舞!

国境警備施設に乗り込み。
バッタバッタと倒していく。
ヌンチャクで機関銃の弾丸をキンキン弾き。
肩に乗せたラジカセのアンテナを伸ばして。
鋭利な武器として、相手を倒す。

始って早々にこの作品への愛情が。
ギュンギュン強くなるのを感じました!

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【事のあらまし】

舞台は、ソ連占領下のエストニア。
ラファエルは国境警備の仕事に就いていた。
しかし、現れた謎の男達にやられてしまう。
奇跡的に命を取り留めたラファエル。
禁断の文化、カンフーとメタルに手を出し。
謎のカンフー僧侶たちと出会う。
そして修行の旅は、始まるのだった……。

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前作『ノベンバー』は。
ダークでエキセントリックな幻想性。
月が夜霧を照らす様な、静謐な映像美。
諧謔と純度の高い愛情にあふれる物語。
”2023年初視聴映画”の十傑に入った作品です。

そんなライナル・サルネット監督の。
第二回監督作品が、ついに公開。
どれどれ。
今度はどんな映像美で楽しませてくれるんだ?

期待を込めて予告を観て。
これほど頭がバグった事はありません。
えっこれ本当に、同一の監督なのか……??


本編を観てわかった事は。
表面上の表現、作風は大きく違えど。
根底に流れる魂は変わっていません。
ひしひしと情熱が伝わる作品でした!

なんていうか監督の。
人となりや優しさ、ユーモア。
キュートでラブリーな愛情が。
遺憾なく溢れてる映画なんですね。

悪意を持った人間は出できません。
何かを決めなければいけない時は。
バシッとカンフーで勝負を決する。
美術やデザインは、温もりがあり。
かといって、お約束な予定調和の展開を。
これでもかと裏切ってくる謎展開は痛快です!
グニャグニャ曲がったクレジットも面白かった!

とは言え、解釈が難しく。
置いてけぼりにされた箇所もあります。
またカンフーバトルが中心の話ではありません。
そのためスコアは満点ではありませんでしたが。
『ノベンバー』同様に、非常に愛せる映画という事を。
十分に知ることができた作品でした!


ただ、カンフーと言っても東欧の方々なので。
丁々発止のアクションには限度があります。
しかし、そんな制作事情を観客に見せない。
編集の妙味も、この作品の持ち味でもあります!
早回しや大胆なカットの応酬で。
小気味よいテンポの映像を楽しめます。


『ノベンバー』を視聴後に。
できれば本作品を観ると。
ふり幅の大きさを楽しめると思います。
一貫して流れる愛情も伝わると思います!

監督のトークショーでは興味深い話も聞け。
ますます好きになりました!
公開期間内に出来ればもう一回、いや二回。
また観たいと思える作品でした!

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【おまけ】

トークショーにて

監督:この主人公は実在するんだ。名前も一緒でね。
『カンフー』と『ブラックサバス』は後付けだけど。
物語の80%は実話だよ。

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