「アイヌ」とは「人間」という意味だと知った。カムイからお借りしたこの場所で生まれ静かに暮らしているだけ、なんて慎ましく穏やかな考え方だろう。日本のような自然の中ではこの考え方が合っているように思う。自然は征服して切り開くもの、という破壊が当たり前の考え方はどこか怖い。奈良時代以前から和人のアイヌの人達への不当な差別や侮蔑はあった。彼らにとって和人はウクライナにとってのロシア、ポーランドにとってのナチスみたいな存在だったのかな。人は自分のコミュニティーとは違うコミュニティーを敵対の対象と見てしまうのだろうか。
映画は孝二郎の目線で描かれていてよかった。アイヌの役はアイヌではない俳優が演じているけど、アイヌの言葉での素晴らしい演技、すごい。字幕の付いていないところは孝二郎と同じように彼らが話していることを不安がりながら見て聞いている。ラストの遠雷はその後も続く争いや差別の暗示なのかな。