ナーオー

バッドボーイズ RIDE OR DIEのナーオーのレビュー・感想・評価

バッドボーイズ RIDE OR DIE(2024年製作の映画)
4.0
前作の台詞を引用するなら、
"キング牧師の次はマルコムXだ"
と言わんばかりにアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーは遠慮なく大暴れ!!

本作『バッドボーイズ RIDE OR DIE』は
"ビンタ事件"で干されていたウィル・スミスの主演映画復帰作なだけではなく、監督予定の『ビバリーヒルズ・コップ4』をDC映画『バットガール』に集中するため監督を降板したのにも関わらず、既に撮影&完成していた『バットガール』がワーナーの判断でお蔵入り… という中々酷い扱いを受けたアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督コンビにとっても映画監督復帰作。この3人の"今度こそ"という強い想いが伝わる映画でした。

前作『フォーライフ』はアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督コンビの初のハリウッド大作映画だったので今思えば色々と厳しい条件下の制作だったのかと思うところがある。アクション映画としては一定の手堅さがあり、十分合格でしたが、マイケル・ベイ監督が手掛けた1、2作目と比較してしまうとどうしても熱量や狂気&悪趣味さが控えめに感じてしまい、良くも悪くも"大人しい"印象が残りました。

しかし今回の『RIDE OR DIE』は違う…
『2バッド』ほどではないにせよ、カオスなアクションがてんこ盛り。前作『フォーライフ』が不満だった人もこれぞ『バッドボーイズ』とニッコリすること間違いなし!

前作『フォーライフ』のアクションもマイケル・ベイとは違ったトリッキーさで他の映画ではあまり見ない奇抜なカメラワークが面白かったですが、本作はさらにグレードアップ。特にクライマックスの銃撃戦。スノーリーカムという体に取り付ける大型カメラをウィル・スミスの体に装着して撮影されたアクションシーン。

単なる一称視点のアクションではなく、スノーリーカムで撮られた映像が外向き・内向きに次々と切り替わり、それをシームレスに見せてくる。これは他のアクション映画ではあまり見たことがない。本作ならでのアクションシーンで観ていてとても楽しい!

乱暴な話運びが多いこのシリーズにしては脚本も丁寧。マイクとマーカス、『フォーライフ』で加わったメンバー、そして本作で初めて登場するキャラクターなど過去作品と比べても今回は登場人物がとても多く、それぞれのドラマが同時進行していくけど、話は決してごちゃごちゃしない。これは脚本家のクリス・ブレムナー とウィル・ビール、特に『LAギャングストーリー』やザック・スナイダーの方の『ジャスティス・リーグ』などの脚本を務めてきたウィル・ビールの手腕が大きいと思います。

とはいえ不満もあるにはある…

例えば、とあるキャスティングのせいですぐに黒幕(裏切り者)が分かってしまうこと。普段映画を見慣れない人は問題ないかも知れませんが、映画好き、もしくは俳優好きの人ならば、あの人がそういう役で出てるなら絶対に何かあると勘づいてしまうと思います。僕は映画が始まって、まだ何も起こっていないところでその人が登場した瞬間、コイツ怪しいな って分かっちゃいました笑

あと1作目からマーカスの妻を演じてきたテレサ・ランドルが降板していたことも寂しいし、AMMOのメンバーのレイフが今回は不参加ということも寂しかった… 他の2人はいるのに…

あとさ〜 アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー… 君たちは自分たちの『バッドボーイズ』を作ることに成功しているのに、ベイ版のキャラクターへのリスペクトがなさすぎる… 前作でハワード署長を殺したのも正直まだ許せていないけど、今回もやりやがったな……

などシリーズファンとしては不満もある。

でも、まさかアイツがこんなに活躍するとは… まさかアイツがこの映画のMVPだったのは… という予想外のサプライズも用意してくれていたり、とても楽しい映画でした!

批評的にも興行的にも成功したので早くも5作目の製作が検討中とのこと。

アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー、今度はもっと人体破損バイオレンス描写増し増しでお願いします!!もっと遠慮なくやってちょうだい!!
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