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あなたのために生まれてきたのおののレビュー・感想・評価

4.3
イタリア映画祭にて鑑賞。2017年にイタリアのナポリで独身のホモセクシャルの男性がダウン症の子どもを養子にした実話をもとにした社会派映画。
イタリアでは結婚していないシングルの人、同性カップルはこの事例以前に養子縁組した事例がない、かつカトリック教徒が多いということを前提として観るといかにセンセーショナルなことだったのかわかるし、作品内に出てくる「火星に行く」という表現にも納得がいく。
結婚していない・できない人の養子縁組という題材だけではなく、ダウン症という題材も丁寧に扱われていて、マイノリティにスポットライトを当てて社会の構造に問題定義をする素晴らしい作品だった。(法律に対して問題定義をするも、悪役を作らないというこだわりにも優しさが溢れていて素敵だった。)
上映後にファビオ・モッロ監督が仰っていたとおり、今のイタリアの政治のマイノリティに対して寛容ではないこの状態でこの映画を制作し公開したことにとても意味があると感じた。数が少ないコミュニティを考慮することは、正しい理解と慎重な判断が必要で簡単なことではないけど、無視していい存在では絶対にない。
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