剣々

チャムキラの剣々のレビュー・感想・評価

チャムキラ(2024年製作の映画)
4.0
パンジャブ地方からスター誕生

パンジャブ地方で頭が音楽でいっぱいながら靴下工場で働くアマル・シン
ある日歌手のジンダに下働きをしながら音楽業界に飛び込むことに成功する
そしてチャンスを掴みアマル・シンチャムキラとして歌手にまでのし上がった!
淫らで大胆な歌詞が人気を呼び一躍人気モノとなるが、そんな彼の歌を快く思わない者も現れ始める…

インドの人気歌手チャムキラを描く伝記映画
歌が流れるシーンが多く、ミュージカル調な演出も取り入れられています
歌唱シーンはリリックが画面に表示され、恐らく韻を踏んでる部分が強調表示されたりとリズム感と合わせて楽しむことができました!
時にアニメーションになったり漫画調になったりと映像的にも工夫されていますね

物語は彼の人生の旅路の終着点から始まり、関係する人物が周りにエピソードを語る形式で回想されていきます
どういう人なのかも知らなかったので、初っ端から中々の衝撃で掴みはバッチリでした!
その衝撃に続きミュージカル調な演出に移行したのも印象的です

そして始まるチャムキラの物語
如何にしてチャムキラという歌手が民衆の心を掴んだかが描かれます
時に立派に、時に小狡く、時に小心者に描かれる人物像からも人間味が溢れていました
(結婚の件はちょっと引いたけどね…)
彼は生まれながらのスターでもなく、ただの音楽が好きな庶民です
だからこそ民衆が好きなもの、求めるものをわかっていたんです
インドでもこういう俗っぽい歌が流行ったりするんですね

民衆に支持され人気が出る一方で、やはり宗教や信仰の強いインド
下品な歌はやめろ!社会を汚していると非難も多く上がります
過激派からも脅迫が届き、身の危険すら感じるレベル……

チャムキラも下品な歌をやめ宗教的な歌にシフトしたりしますが、今度は警察からその歌はテロリスト達を賛美している!止めなければ消すぞ!と脅される始末…
何歌っても危険が迫るわけですよ
そして民衆からはいつもの歌を求められ、求められると断れないのがチャムキラという男
こうしてズルズルと運命に引き摺り込まれていくのです

音楽に憧れ、音楽に生き、音楽に散った男の物語でした
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