わたぼう

まひるのほし 4Kのわたぼうのレビュー・感想・評価

まひるのほし 4K(1998年製作の映画)
4.5
『花子』に続けて鑑賞。花子ひとりだけでも強烈だったのに、今度は7人もいる。

続けて見るのが(しかも朝から)重いな…と思ったのだけど、こちらのほうが見やすくて、好みだった。オムニバス方式でそれぞれタイトルの付け方も楽しかった。(こちらも笑っていいのかとおもうのだけど、かなりの箇所で笑ってしまう)

幸せな植物を描くアーティスト・シュウちゃん(小声の智弁和歌山に吹いた)、「情けない」が口癖のチャーミングな陶芸家・ヨシヒコさんなど、どのエピソードもパンチ力があるが、とくにシゲちゃんの存在感が強い…。一見普通のことを喋ってるのかと思うと、そうでもない…。そして、書く文字の独特の書体&レイアウト(←すでにアート)、そして内容を見て、戦慄する。

他の子は絵画とかなのに、彼だけは言葉を書かせて、それがアートになると見抜き、やらせてみる先生の眼力に恐れ入る。個展の様子とテレビモニターの中のシゲちゃんのインパクトが脳裏に焼き付く…。

シゲちゃんは辻堂に住んでいるようで、もしかしたら、近くの駅で叫んでるのを見たことがあるかもしれない…。

上映後に、平塚の工房絵(かい)のシゲちゃんの先生(関根幹司さん)のトークショーがあり貴重な話が聞けた。映画内ではあまり分からなかったが、毎朝バカヤロー!と叫びながら教室に来ていて、職員の肩をものすごい力で掴んでくるので、職員たちのアザが絶えなかったようで、先生の体もシゲちゃんの歯形が3箇所あるそうだ。かなりの問題児だったようで、ほかの親から退学させろという危機もあったそうだ。そんな不安定なシゲちゃんだったが、アートをやらせてみたところ、少し落ち着いた性格になって、一時期は就職もできていたようだ。(が会社が倒産して、また戻ってきているとのこと。)女性に対する欲望があるような発言や、街行く女性を追いかけ回したりしていたようだが、それは女性に挨拶してもらいたいだけとのこと。その純粋な気持ちをアートにぶつけたことで、毎日女性職員宛に書いていた手紙のルーティンもやめられたようだ。

もっと詳しく話していたけど、長いので省略…。先生が文章に残してくれることを期待するほど、この映画とセットな重要なお話しだった。一応、謎の使命感でここにざっと書いておく。
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