まるで自分を見ているようで怖かった。
「また坂庭さんかよ」と言ったあのボランティアのリーダーの男の子。
最初、怖いと思った。一瞬で「あ、この人怖い人だ」って思った。たった一言で、人を判断してしまう人間なんだと自分のことを思った。
私は言葉が好きだから…他人が発する言葉に敏感だから…余計にそういうことを思ってしまうのだと思う。
あの男の子は、冷たくて怖い人間。
でも違った。
よしのさんが教えてくれたから。
「あの子は、冷たくあしらったりするけど根は優しい人なのよ」
その言葉がなかったら、私はあの人のことを怖くて冷たい人間というレッテルを貼ってたかもしれない。また、貼って一生剥がさずにそのままの目で彼を見つめたかもしれない。
誰かがする他人の話は、その人を理解する上で重要な手掛かりとなる。
しかし、よしのさんが言ってくれたから彼のことを知ることができた。
じゃあ、彼のことについて何も言ってくれなかったら?
私の目は、彼の心を違う角度から見つめ直すことはできたのだろうか…