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死刑執行人もまた死すのcardamonのレビュー・感想・評価

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
3.7
先日観た「ハイドリヒを撃て!」は暗殺者や地下組織の視点による作品。本作は市民の視点から描かれる。因みに、前者はフィクションを織り交ぜつつもラストはほぼ史実通りだが、こちらは暗殺以外はフィクションである。

序盤、偶然暗殺者を匿う事になった若い女性が、成り行きから地下組織に協力する事になる。捨て身の覚悟で暗殺者を守る側になって行く心の変化が興味深い。

ただこの作品、大戦中という時代背景もあるのだろうが、プロパガンダ色が強く感じられた。暗殺者が自首しない限り、ナチスは多数の人質を処刑すると宣言。当然、犯人隠匿に反対した市民も存在した筈である。しかし、そういった人々には焦点を当てず、ナチスの横暴には決して屈しない誇り高き民族という姿勢を前面に出している点である。

でも、純粋に映画としては面白い。特に、市民の一致団結の下、ナチのスパイとなった人物を追い詰めて行く終盤の展開には思わず手に汗を握った。
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